日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。
そこに競馬があるから > クランジ競馬場 > クランジ競馬場 その26 ~馬券予想と勝負の記憶~

クランジ競馬場のパドック
*クランジ競馬場レポートのつづきです。
初めからお読みになる方はクランジレポートその1からどうぞ。
どうも。荷桁です。今回もクランジ競馬場の話をしてまいります。
今回はクランジ競馬場での個人的な馬券の思い出の話をしていければと思います。荷桁はクランジ競馬場に計3回訪問したのですが、負け・勝ち・負けとトータルでは見事に負けております・・・。最初の1回は学生時代であんまり馬券も買わなかったのでノーカウントとして、みっちり馬券を買ったコロナ後の2度の訪問では1勝1敗、まあなんやかひととおり馬券を買って勝ったり負けたりしていたということになります。
もうなくなってしまったクランジ競馬場には馬券リベンジに行けることもない訳ですが、ひとまずコロナ後の2度のクランジ競馬場への訪問で、どんな感じで馬券を買って、どうなったのか、みたいな話をゆるゆるとしていければと思いますので、お付き合いいただければ幸いです...

さて。っつーわけで、クランジ競馬場の馬券の思い出である。まずはクランジ競馬場で荷桁がどんな馬券を買っていたのかという話からさせていただこう。
前回のレポートでクランジ競馬場には単勝・複勝・ワイド・馬連・三連複・三連単・四連単・二重勝と馬券があったという話をしたが、実際に現地に行ってみると、売れ筋は圧倒的に単勝と複勝になっていて、日本と違ってシンガポール競馬オヤジたちには単複が人気のようである。
というのも、クランジ競馬場では単勝$5.30、複勝 $5.10の最低払い戻し金額が設定されており、ぐりぐりの馬を買っても元返しになることがないのだ。単複は控除率も18%に設定されており、ほかの券種(25%)より有利となっているのも人気だった理由かもしれない。ただし日本のように複勝の払い戻しが3着以内の馬の人気具合によって増減はしないのでそこだけ注意が必要だ。

実は荷桁は日本でも基本的に複勝馬券ばかり買っているので単複馬券が人気だと、同じようなパターンで馬券を買えるのでありがたい限りであった。特に複勝は国によっては全然売り上げが小さくて機能していないこともあるのでなおのことだ。そんなこともあってクランジでも基本的には複勝をベースに単勝やワイドを組み合わせて勝負をすることにした。
見ての通り、上位人気の馬はだいたい複勝で2倍くらいをつけるので、そこを手堅く当てて、ワイドや単勝で上積みできれば尚よし、みたいなイメージである。

さて、そんな感じの馬券の組み立てでいざクランジ競馬場の馬券勝負に臨んだわけだが、当然のことながら複勝でどの馬を買うかというのが予想の最大のポイントとなる。
とは言ったものの、正直、競馬新聞を読んでも「これが軸だ!」と分かるほどシンガポール競馬に詳しくはない。ジョッキーで適当に買うかオッズ見てそれっぽい馬でも買うかどうしたもんかねと思ってパドックを眺めていたところ、ふとあることに気が付いた。
それは馬主の来訪である。


クランジ競馬場のパドックは屋根がついているのでレース前に調教師と騎手がパドックの内側で作戦会議をするのだが、そこに馬主が来ている場合と来ていない場合があるのだ。シンガポール競馬の馬主は当然大半がシンガポール在住だと仮定したすると、自分の馬が勝ちそうなレースは現地に見に来るし、勝てなさそうな馬の場合は見に来ない、みたいなことがありそう、すなわち、馬主が関係者と一緒にワイワイ見に来ている馬を狙って買っていれば複勝を手堅く取れるのでは?というのが成り立ちそうだなと思ったのである。

この読みは案外あっていたようで、実際問題、パドックで多くの人を連れてきていた馬主の馬が勝って、こんな感じで記念撮影にも多くの人が来ているということがままあった。
なので荷桁はクランジで馬券を買うときはひとまずパドックで馬主が来ているかをガン見して、馬ごとに
1:家族や友人などやたら関係者を連れてきている
2:とりあえず馬主本人か夫婦くらいで来ている
3:馬主来ていないっぽい
くらいの感じで分類して、1や2に該当してオッズがある程度人気しているが複勝で2~3倍くらいはつける馬で勝負することにしたのだった。

と、いかにもそれっぽい馬券術を編み出したような口ぶりだが、もちろん、馬主がいなくても勝つ馬はいたので、そこはちゃんと言っておきます・・・。


とは言いながら、この作戦は案外悪くなく、コロナ後の訪問のうち、最初の訪問はこの作戦でけっこう的中を重ねてトータルで勝つことができた。同じレースで2頭の複勝を当てたり、1番人気のワイドも買い増してそれも当たったりと、手堅く遊ぶことができたのだ。
運よくオッズもいい感じに割れていて、単勝は10倍以下なのに複勝で3倍前後つけるような美味しい馬もちらほらいて、ウマウマという感じであった。

そんなわけで、コロナ後2回の訪問のうち先の1回はいい感じに勝つことができたのである。馬主が喜ぶ姿を見て、こっちもニヤニヤするというやや気持ち悪い感じになっていたが、まあ、パドックを見てその情報から馬券を買っているだけなので、文句言われる筋合いはない。
そんなわけでクランジ競馬場における画期的な馬券術を編み出すことに成功したかに思われたが、廃止が決まってからの2度目の訪問では、この作戦がうまくいかず、逆に負けを喫してしまうのだった。

うまくいかなかったというのが要するにどういうことかというと、まず複勝オッズがなぜかコロナ後二度目の訪問時は全般的に辛かったのである。
一度目のときには1番人気以外であれば単勝10倍以下の馬でもだいたい複勝2倍はつくという感じだったのだが、二度目の訪問の時は2番人気や3番人気も複勝1倍代というのが多かったのだ。売り上げが減ったのか、廃止が決まって馬の力差があるレースが増えたのか、関係者が「競馬が廃止になる前に少しでも儲けておこう」となってインサイダー情報的なもので複勝にぶち込まれることが増えたのか、理由はよくわからないし、この日がたまたまそういうレースが多かったとだけかもしれないが、まあそんなこんなで、馬主サインが出ていても、オッズ的に複勝美味しいという馬があまりいなかったのである。
その結果として、あるレースでは人気の馬をチョイスしたが、当たってもそう儲からない、あるレースでは馬主が来ていた人気薄の馬を狙って外すという悪循環に陥ってしまい、的中がない訳ではないものの、トータルではマイナスになってしまったという訳だ。



また、2度目の訪問のときには既に廃止が決まっていたせいか、けっこう来ている馬主さんが多く、そもそもの馬のチョイスの難易度も前回に比べて上がったというのもある。
さっきの1~3で言うと
2:とりあえず馬主本人か夫婦くらいで来ている
のパターンが前回に比べて非常に多く、荷桁的に「馬主来てねーな」とバッサリ切れる馬があまり発生しなかったので、軸を絞りづらく、なおかつ来ても大して儲からないオッズばかりという感じで非常にやりづらかったのだ。

そんな2度目訪問のハイライトは8レース目。この日すでに負けがこみ始めていた荷桁だったが、例によってパドックで馬ではなく人をガン見していたところ、12番の馬が女性を含む複数の馬主関係者がパドックにつめかけており出走各馬の中では勝負気配という感じに見受けられたのだ。
単勝オッズ16倍前後にして複勝オッズは2倍と美味しくはないが、他の馬はあまり馬主が来ていなかったし、あれだけ人来てたら3着以内くらいは期待していいだろうということで勝負に出たのである。

というわけで12番の複勝15ドルと同きゅう舎2頭出しの人気の方であった1番とのワイドをボーナス要素として2ドルだけ購入。この日は1レース10ドル(当時のレートで1000円ちょい)と決めて売っていたのだが、確実に取り返したい欲求に負けての増額勝負に出たのである。まあこの時点で負けフラグが点灯していることこの上なしなのだが、最後になるであろうクランジで負けたくないという思いが全面に出ちゃった感じですな・・・。

レースがスタートすると12番は後方待機の作戦を取る。ただ、以前にも申し上げた通り、クランジの直線は長い。最後の直線では大外から12番が満を持して差してきたのである・・・!
「ふおおお!!12番差しきれーーー!!」
と、横にいたシンガポーリアン競馬オヤジもドン引きで苦笑するレベルで叫びまくっているうちに各馬ゴール。12番はゴール前では先頭に躍り出たかのように見えた。内側には相手の1番もいて、うまくいけば複勝・ワイドのダブル的中もありえる・・・!とはいえレースをコースのすぐ最前まで出て見ていたこともありゴールの様子はつぶさにはわからなかったので、とりあえずワクワクしながらビジョンに映し出されるスローVTRを見ることになった。

さあ、赤の帽子、オレンジの勝負服、12番が大外から猛然と突っ込んでくる~~~~

と、思ったら届いておらず、ものの見事に「それ4!」を食らってしまう。
「ひゃおう!」と叫んでへたり込む荷桁にまたもドン引きするシンガポーリアン競馬オヤジ。馬主席では12番の馬主関係者たちもさぞかしへたり込んだことであろう。
結局こういうのがひとつでもあると、崩れた馬券のリズムを取り戻すことはできず、この日はトータルで負けとなったのであった・・・。
まあいろいろ申し上げましたが、ひとまず荷桁はこんな流れでクランジ競馬場では馬主作戦によって勝ったり負けたりをしていたということでございます・・・。
特にこれといった意味はないが、最後に、クランジ競馬場のレース風景を張っておこう。何となくでよいので荷桁が叫びまくっていたクランジ競馬場の熱気というか空気感を感じていただければ幸いでございます...
さて。そんなこんなでクランジ競馬場レポートも26本。スタンドや施設、レースまでの流れ、さらには馬券と一通りの話はできましたので、お次からは皆さんお待ちかねのグルメの話をしていければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします・・・。
>>クランジ競馬場レポートその27へ
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