日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。
そこに競馬があるから > 名古屋競馬場 > 名古屋競馬場 その45 ~名古屋競馬場グルメをしのぶ 大島屋~
名古屋競馬場の大島屋
*名古屋競馬場レポートのつづきです。
初めからお読みになる方は名古屋競馬場レポートその1からどうぞ。
どうも。荷桁です。今回のレポートでも旧名古屋競馬場、通称どんこ競馬場のグルメについて見ていければと思います(いきなりこの記事に飛んできてどんこ競馬場グルメの全体像が理解できていない場合はこちらの記事に先に目を通しておいてくだされ)。
前回のレストランあらぶまではどんこ競馬場のスタンドにあるお店をご紹介してまいりましたが、今回の「大島屋」さんからはスタンド裏手の食堂棟に入りまして、さらにディープなお店たちを紹介してまいりますので、よろしくお願いいたします。
今回ご紹介の大島屋は食堂棟の一番東側(パドック寄り)にあるお店で、中京競馬場にも同じ系列・同じ屋号の店があることでも知られている。そういう意味では立地的にも、中央競馬にもあるという意味でも利用したことがある方は多いかもしれないので、是非、これを機に、どんこ競馬場の大島屋を懐かしんでいただければと思います。
それではまいりましょう。どんこ競馬場の大島屋の思い出でございます...
っつーわけで、どんこ競馬場の食堂棟にあった大島屋である。
先ほどより食堂棟などと言っているが、よく分からない人のためにざっくり解説しておくと、どんこ競馬場の食堂はいくつかはスタンドの中にあったのだが、多くは入場門を中心として東西に広がる食堂だけがあつまった建屋にずらっとならぶ感じで存在していたのである。
大島屋はその中でももっとも東の隅にあって、パドックにも近かったので、比較的人通りも多く、利用者も多い食堂であった。こんな感じで大島屋から西を見ると、片流れアーケードのような屋根の下に、お店が並んでいることがお分かりいただけると思う。
では、おおまかな位置関係を把握していただいたところで、さっそく大島屋を観察していくことにしよう。こちらが大島屋の外観である。のぼりにはカキフライ、味噌ラーメン、焼きそばの文字が躍っている。
どうでもいいが、商店街の花飾りっぽいものがぶら下がっているのに時代を感じるな。
もう少し寄ってみると、左側に入口、右側に外向けの販売窓口、真ん中に何やら年季の入ったメニュー看板という感じになっているのが分かる。大島屋の入口にはどんこ競馬場では珍しい自動ドアが導入されていて、これは大島屋とあらぶだけであった。この2店舗+酒津屋は確かに他の食堂に比べて箱も大きく、競馬場をリードしていく存在だったので、ここに自動ドアが導入されていたのもまあ納得だ。
ちなみに細かいポイントだが、入口の前に敷いてある(名古屋弁だとひいてある)、マットにもご注目。赤地に緑色の馬のマークが描かれている大島屋のオリジナルデザインマットだが、これはまさに中京競馬場にある大島屋の看板にあるマークと完全に一致しているのである。詳しくは中京競馬場グルメのレポートも見ていただければと思うが、ひとまず中京競馬場の大島屋とどんこの大島屋が系列だったということを示す証拠の一例でございますね。
外向けのテイクアウトコーナーは飲み物から軽食までかなり充実していた。
生ビール、瓶ビール、レモンハイなど店内で飲める酒類のほか、コーラー、ジュース、ポカリスエットなどのソフトドリンクも。ポカリスエットだけが単独でメニュー化されているのが時代を感じるぜ。ほか、コーヒーなどのドリンク系メニューがあった。食べ物は焼きそば、唐揚げ、フランクフルト、串カツなどの軽食を中心に揃えてテイクアウト需要に応えていた。
写真にはないが、ここの焼きそばは焼きそばを自動で作る回転式の機械により製造されており、この機械から漂うソースのいい香りにつられて、パドックで馬を見ていたついでについつい大島屋で買い物をしてしまったという方も多かろう。
店外に掲出されているメニューはこちら。とんかつ、ハンバーグ、唐揚げなどの定食系、ラーメン系、串系、などなど、大島屋の代表的なメニューが並んでいる。名古屋のご当地感があるのはどて、串かつめし、あたりであろうか。東海エリア出身で、どんこや笠松に通っている人間は、この辺のワードを見ると食欲全開になってしまうのだ。
では早速、大島屋の中に入っていくことにしよう。
中はそこまで広くないとは言え、けっこう卓数が多く収容人数が多い店であると言える。
尚、大島屋にはカウンターもあり、奥が調理場になっている。中に調理場があるカウンターというのは、壁に面したカウンターとは違って一人客にとっては非常に居心地のよい空間であると言える。酒をぐびりとやって、新聞やオッズモニターを見る合間に、調理人の手元や、他の人の注文したメニューを運ぶ店員さんを見て「ああ、あれもウマそうだな」なんて思う瞬間を挟めるのが、馬券漬けの脳みそにはいいインタバールになってくれるのだ。
奥の卓は清潔感のあるスタンダードなテーブル席。1人客で使用してもデッドスペースが生じずらい、ちょっと狭めの作りだが、ある程度回転重視の公営レース場の食堂のテーブルとしてはよく考えられたバランスだったと言えよう。
そんな大島屋はこのテーブルの作りとメニューの豊富さもあり、こうした家族連れの利用も多かった。
さらに大島屋の店内には2台のモニターがあり、だいたいどのあたりに座っていても観戦ができるのも素晴らしかった。まあ、大体自分の馬券が外れるとことをわざわざ店内で見て気まずくなるというのが関の山だったので、荷桁にとってはなければないで、別に良かったのかもしれない・・・。
さて。大島屋の店内の様子もだいたい見たので、ここらで、大島屋のメニューについて、知っておこう。
大島屋はこんな感じで、田舎の新興ラーメンチェーン屋によくありそうな書体で、壁に主だったメニューが書かれていた。串、ラーメン、丼もの、定食系と、ここらへんに書かれているものは表にあったメニューとそう大差ない感じだ。
串ものは堂々と100円の価格が刻まれており、これ、値上げしたら書き換えるのもまた金がかかりそうだし大変だなあと思うが、当時、日本はこれでもかというくらいのデフレ経済であったため、まさか100円から値上げをする日が来るとは思っていなかったのかもしれないな。
ちなみに、壁以上に注目はその上にある、昔懐かしい電光メニューである。
こちらも書いてある内容は壁と同じなのだが、あの写真の感じが、何となく、実家の近くのひなびたラーメン屋のメニューを想起させていい感じだ。もう今、あんな感じでメニューを掲出しているのは吉野家やハンバーガーチェーンくらいかもしれないな。
ああいうメニューが壁にあるお店は大体、こうしたくたびれた感じのメニューが手元にあったりするのだ。
こうしてじっくりメニューを見ると、冷や麦、冷やし中華などの季節限定メニューやおかず、なんてのもあったりして面白い。
定食、丼ものはこんな感じ。
おすすめコンビとしてどてめしと串かつめしが紹介されているが、これはそれぞれがおススメなのであって、コンビで注文することを推奨していた訳ではないのでご注意されたし。両方頼んだらフードファイト間違いなしである。
ちなみに、この大島屋のメニュー、コロナ以降にちょっと価格改定がされたが、概ね同じラインナップが維持されていた。ポカリスエットの独立が最後まで保たれたのは大塚製薬とのかねあいなのだろうか・・・。競馬場のこの店の仕入れが大塚製薬にとってそんなにでかいとも思えないのだが・・・。
ちなみに、グランドメニュー以外にも、大島屋は冷蔵庫内にちょっとした副菜が、カウンター上のショーケースにはおかずがいろいろ陳列されていた。この大衆食堂スタイルはどんこ競馬場ではママあるパターンなので、このあと紹介していくお店でも注目しておいてくれたまへ。もっとも、どんこだけでなく、いろんな公営レース場の食堂でよく見られるスタイルではあるのだが。
そんなわけで、だいぶ長いこと大島屋の講釈を垂れてしまったので、いざ実食と移ろう。
まずは生ビールで乾杯。やっぱこれこれ。
チューハイも缶チューハイをドボドボやるガッカリスタイルではなく、キリンのサーバーから注がれるしっかりしたチューハイであった。レモンも入っていい感じ。
酒を頼んだらスピードメニューの串をいっておくのが大島屋の常道。
左から、とんちゃん(豚の臓物の味噌煮)、牛スジ(こちらも味噌煮)、味噌串カツ、そして焼きとんだ。とんちゃんというのは名古屋ではポピュラーな名古屋のチープな豚ホルモン料理の総称なのだが、店によって味噌で煮込んだり、たれに漬けこんで炒めたりと、ひとくちで「とんちゃん」と言った場合もいろいろあるのでご注意されたし。まあ、このあと出てくるどて煮もそうだが、ネット上の情報だけ聞きかじって「これが本物のどて煮だ」とか「これが本場のとんちゃんだ」などと言うのは、それぞれのメニューにいろんな流派があって、それぞれにファンがついて小宇宙を形成している名古屋ローカルめしにおいてはあまりいいアプローチとは言えないので、通ぶりたい方は併せてご注意されたし。味噌かつとひとつとっても、かける、浸す、つけると実にいろいろあるのですよ。
なので、細かいことは気にせず、頼んだ串はどれがどれとかあまり気にせず、ひとまずビールなりチューハイなりでキューっとやっていただければOKだ。
こちらは、大島屋のどて煮である。
普通、どて煮と言えば、とんちゃんなど、豚の臓物を使うのが一般的だが、先ほど申し上げたとおり、名古屋にはどて煮と言っても様々な流派があり、酒津屋のように牛スジを使っているお店もあったりする。豚バラ肉を使っている店は荷桁の知る範囲ではあまりないが、ここ大島屋は豚バラということなのである。まあ、もちろんうまくないはずはないのだが、個人的にはどて煮にはちょっとアウトローな肉を使っていてほしいので、あまりこれをどて煮としたくはないところではあるが、まあ、あまりその辺は気にしない方がいいぞ。
っつーわけで、大島屋のどて煮もチューハイで乾杯!どて煮というからややこしいのだが、豚バラの八丁味噌煮と考えれば、酒に合う、うみゃあつまみである。
さらにおつまみからもう一品。冬季にはうれしいカキフライだ。620円とつまみにしてはやや豪勢な値付けではあるが、大ぶりのカキフライが4個もあってなかなかいい感じであった。こうした定食のおかずだけの注文もできたので、メシだけでなく酒飲みにも優しいお店と言えた。
そして皆さんお待ちかね。真打登場、味噌カツ丼である。
大島屋の味噌カツ丼はごはんにキャベツを敷いて、その上にカツをのせて、みそだれをかけたスタイル。衣のサクサク感が楽しめるタイプだと言えよう。先述のとおり、名古屋には味噌カツにもいろいろあり、こうしたみそだれを上からかけたスタイルもあれば、味噌に浸す、味噌で煮込む、別皿の味噌をつけるなど様々なスタイルがあるので、これが正解と言うものはない。キャベツの有無も店によって異なるのだ。
ただ、名古屋人はそのへんの差分をあまり気にせず、とりあえず、とんかつとみそだれがあれば、それを「味噌カツ丼」として認識して「うみゃー」という感じで、舌鼓を打ちながら、バクバクと食べるので、細かいことは無視してOKである。
さらに大島屋の味噌汁は正統的な赤出汁というのも素晴らしかった。味噌カツ丼に赤出汁、この組み合わせに何の疑問も抱かずにぺろりと平らげたら、あなたも立派な名古屋人である。
丼ものの次は麺類だ。大島屋で意外と侮れないのが、こちらのうま辛ラーメン。冬場に食べると体があったまり、夏場は夏場で汗をかいてサッパリするということで重宝するメニューであった。
大島屋はえびすやの亡き後、どんこ競馬場内で唯一、辛い系のラーメンを提供し続けたお店だ。ただ、えびすやが名古屋名物の台湾ラーメンを供していたのに対して、大島屋は四川みそラーメンとうこちらのうま辛ラーメンというオリジナルメニューであった。台湾ラーメンはニラやひき肉など独自の材料が必要になってくるので、他のラーメンメニューと具材の共通化ができるよう、スープの味だけを変えていろいろ展開していたのかもしれないな。
尚、あまり知られていないが、大島屋は非常にスタンダードなきしめんも提供していた。きしめんは出汁さえ決まれば麺は生だろうが、パウチだろうが冷凍だろうが、製麺所からの直送だろうが、ハッキリ言って誰がどう湯がいてもそれなりにウマいという便利な食品なので、とりあえず置いておくにはいいメニューである。
さて。そんなわけで、ここまで、荷桁がどんこ競馬場訪問時に食した大島屋の店内メニューである。なんか大島屋で食ったモノだけ見ていても、名古屋メシの奥深さが感じられていいものですな。
さて。ここからは最後、大島屋のテイクアウト系メニューを紹介しておこう。
こちらは焼きそば。先述の通り、ぐるぐると炊飯器の釜のようなものが回って自動で作られる焼きそばなのだが、これがまた、昔懐かしいサービスエリア等で供されるやきそばという感じで素晴らしかった。世の中にはいろんな焼きそばがあれど、結局一周まわってこういうのに帰ってくる感じはありますわな。
焼きそばと来ればたこ焼きも忘れてはならない。こちらも、業務用のたこ焼きをフライヤーで揚げましたという感じの、サービスエリアで良く見る揚げたこそのもの。だが、それがいい、という逸品であった。小袋のキューピーマヨネーズがついてくるのが、またこれサービスエリア感あるよな笑。
というわけで、大島屋自体はひと昔前のサービスエリアでもなんでもなかったのだが、ついつい、幼少期の自身の記憶の断片とともに、大島屋の思い出を楽しんでしまいました。
さて。ってなわけで、大島屋でございましたが、いかがでしたでしょうか?
お次ももちろんどんこ競馬場グルメの話をしてまいりますので、引き続き何卒よろしくお願いいたします...
>>名古屋競馬場レポートその46へ
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