日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。
そこに競馬があるから > 名古屋競馬場 > 名古屋競馬場 その35 ~第3スタンドをあらためて~
名古屋競馬場の第3スタンド
*名古屋競馬場レポートのつづきです。
初めからお読みになる方は名古屋競馬場レポートその1からどうぞ。
どもども。荷桁です。今回も旧名古屋競馬場、通称どんこ競馬場の話をしてまいります。
このところ、どんこ競馬場のスタンドを振り返るという酔狂なことをしておりまして、ここまで、第1スタンド、第2スタンドと見てきましたので、今回はタイトルにありますとおり第3スタンドを見ていければと思います。
第3スタンドは最も4コーナー寄りにあるスタンドでしたが、正直、あんまりスタンドっぽくない作りであったこともあって、やや影が薄いスタンドでした。今回のレポートではそんな第3スタンドの様子をゆるゆると見ていければと思います...
さて。そんなわけでどんこ競馬の第3スタンドである。
ひとまず位置関係だが、冒頭申し上げた通り、写真で言うところの一番右、最も4コーナーに近いところにあるスタンドである。
フロアマップも見ておこう。これを見ると、1階部分に「金シャチプレミアムラウンジ」というのがあるのが分かる。このラウンジについては次のレポートで別途詳細をやることにしよう。
それ以外のフロアはまっさらになっていて4階までなんかありそうな雰囲気があるが、実際のところ、一般客が行き来できるのは2階までとなっている。
このへんは、外観を見たほうが早かろう。
見ての通り、1階から2階にかけてスタンドがあり、2階部分にはかつては馬券売場だったであろう、業務スペースと通路があるという感じだ。写真だと分かりづらいが、第2スタンドと2階部分でつながっているが、行き来はできないという不思議な構造になっている。
こまかな部分はさておき、見ての通り、とりあえずここに立ってればレースは良く見えるぜ、といった感じのシンプルかつオールドスタイルなスタンドと言える。
一部分だけ3階建てのようになっているが、ここはカメラが置かれていた。中継文脈なのかパトロール文脈なのかはよく分からないが、まあ一応ここが第3スタンドで一番高い場所ということになる。もちろん一般人は入れなかったが。
ちなみに、なぜここだけ中途半端に高くなっているか、という部分については後ほど、解説しますゆえ。
さて。そんなわけで、第3スタンドだが、こうしてあらためて東スタンド、第1スタンド、第2スタンドと並べて見ると、第3スタンドだけ屋根がなくて貧相な感じがするのにお気づきいただけるだろうか?
そんな第3スタンドには、こんな感じで工事の礎石がはめ込まれている。こいつをよくよく読んでみるとなかなか興味深い。
「名古屋競馬場㐧三スタンド増築工事」までは全然OKなのだが、問題はその次だ。構造のところに「鉄筋コンクリート造四階建」とある。昭和37年の年末には竣工しているとあるが、先ほど見ていただいた通り、第3スタンドはスタンド2階に階段部分だけ3階くらいの高さがあるという建築物である。どういうことなのか。
実はそのへんは昔の名古屋競馬場の写真を見ると合点がいく。朝日新聞デジタルの2022年3月3日の記事「寅さんも来た名古屋の「ドンコ競馬」、73年の歴史に間もなく幕」内に掲出されている写真を見ると、なんと昭和40年(1965年)の第3スタンドは2層の観覧席と大きな屋根を備えた立派なスタンドになっているのだ(有料記事だが写真は見られるはず)。
<写真はこちら>
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20220302002923.html?iref=pc_photo_gallery_13
つまりどういうことかというと、まずこの第1スタンドは昭和37年以前からあって、昭和37年の時点で写真の通り、4階建に増築されたが、その後、老朽化なのかなんなのかで縮小されたということになる。
実は荷桁も後年まであんまり意識してなかったのだが、荷桁の学生時代、2007年の訪問時の写真だと、まだ全然第3スタンドは4階建であった(奥の方なので分かりづらいが)。2009年のJBCのときには既に現在の第3スタンドになっていたので2008年ごろに3階から上の部分の撤去工事が行われていたようである。
先ほど、カメラが置いてある部分だけ変に高い位置にあるのを見たが、あれは4階まであったのがあそこだけ残されてああなっていたのである。
どうです?けっこうこうして振り返って見ると面白くないですか?いつか今以上に暇になったら資料を漁って、このへんの変遷と言うか年表みたいなものをしっかり作ってみたいもんだね。このへんのスタンドの変遷は南関東とかでも顕著なので、またこのブログをガン見しておいておいてくだされ。
さて、そんなわけで話があっちゃこっちゃ飛んでおるが、小さくなってしまった第3スタンドをあらためて見ていこう。
第3スタンドはいわゆる座席タイプの観覧席ではなく、段々になったコンクリートに立ったり座ったりして見る、ひと昔前のスタンドに多いスタイルであった。
コンクリが塗りなおされている感じがあるので、もともとは座席があったのを撤去したりして固め直してる可能性はありそうだ。
まあ、ほぼ土足エリアに直座りという感じなのだが、人がそんなに多くないこともあって、不潔な感じはそこまでしない。潔癖の人に言わせれば、トイレにも入る土足でベタベタ歩いているところだぞ、というのはあるかもしれないが、それ言い出すとキリがないしね。
こんな感じで、基本皆さま座って観戦ということになる。
第3スタンドは馬券売場から少し離れているのと、ゴール板から遠いこともあって、いつも比較的空いているのだが、こんな感じで景色はよく、観戦はしやすいスタンドと言えた。
まあ、どんこの場合4コーナーで勝負ついちゃってることも多いし、ゴール前で見ているのと、そんなに気分は変わらないと言うのはあるかもな。府中だったらここでももはやゴール板近くの領域だろう。
観覧席の上、2階に当たる部分はこんな感じであった。
かつては馬券を売っていたのであろう穴場が広がっているが、使われているところを見ることはなかった。一回目のJBCのときとかは開けてたかもしれんな。
そんな第3スタンドだが、実は2階部分で第2スタンドとつながっていたりする。
このつなぎめ部分からは特に第2スタンドの内部には移動できないという謎の仕様になっているのだが、つなぎめを渡ったところには第2スタンドのグリーンホールにあるラッキーという売店の窓口がある。
かつて第3スタンドが観客席として機能していた頃はこの売り場を利用する人が多かったのかもしれないな。
ところが、いつの日にか、この売り場もほぼ機能しなくなっていた。営業中の札はついていて、実際に中のお店は営業しているのだが、この売り場が開いていないというイメージですな。
ガラス戸をドンドン叩けば中の人に気が付いてもらえて、何かしら買えたのかもしれないが・・・。
さて。スタンドの表、すなわち1~2階にかけての観覧席を見てきたので、今度は裏手だ。第3スタンドの裏手には特に馬券の売り場とかもなく、やや閑散とした感じだ。
どんこ競馬場の晩年(よりはもう少し前からか)には、第3スタンドの1階は「金シャチプレミアムラウンジ」なる、ラウンジスペースができていた。
この中身についてはまたの機会にじっくり触れるとして、とりあえず、第3スタンドの1階にはこんなものがあったということをご理解いただければここではOKである。
尚、金シャチプレミアムラウンジができる前の一時期は、この第3スタンドの1階はやや持て余されていて、よく分からない展示コーナーのようになっていた。
船橋競馬場の船橋競馬ミュージアムのように、ある程度のコンセプトを持った空間というよりは、一貫性のない展示やパンフレットがとりあえず置かれていたという感じで、特に職員なども常駐していない空間であった。
展示の後ろは物置のようになっていて、今思えばすごくぞんざいな感じであった。
だが、そんなぞんざいな展示の中でも、過去の名馬・名騎手を紹介するパネルの中に坂本敏美騎手のパネルがあったのは、今思えば貴重だったな。
さて。個人的に、第3スタンドで忘れてはならないのはこちらのおむつ取替所である。
見よ。この独特のセンス。
このブログでもたびたび紹介してきたオムツ取替所の看板であるが、やはり何度見ても素晴らしい作品ですな。
ところがこのオムツ取替所。
晩年は、こんな感じで上から張り紙が貼られてしまい、どんこオムツ赤ちゃん(←勝手に命名しているだけ)が拝めなくなってしまっていた。
確かに、昨今、こういったパターンだとオムツ交換台というよりも授乳室の方がニーズがありそうだし、オムツ交換台と授乳室を勘違いしたトラブルというのも実際に起こったのかもしれない。
まあ利用者のニーズ的には間違いなくこの流れは正しかったのであろうが、なかったものにされてしまうというのも、やや不憫な感じであった・・・。
さて。そんなわけで、最後よく分からない流れになったが第3スタンドの様子はいかがでしたでしょうか?3階より上が解体される前の写真をもっと撮っておけば良かったと悔やまれるぜ。
次回は第3スタンド内にあった金シャチプレミアムラウンジの様子を見ていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
>>名古屋競馬場レポートその36へ
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