名古屋競馬場 その23 ~土古の景色を焼き付ける~ そこに競馬があるから 忍者ブログ
日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。

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名古屋競馬場
名古屋競馬場


*名古屋競馬場レポートのつづきです。
初めからお読みになる方は名古屋競馬場レポートその1
からどうぞ。





 どうも荷桁です。長いことコラート競馬場レポートをやっておりましたが、今回からは国内に戻ります。今回からのレポートはタイトルにありますとおり名古屋競馬場となります。



 ・・・と書きますと、ユーザーの方の中には「おお、さすがは荷桁。オープンしたばかりの新・名古屋競馬場にもう行ってきたのか!」と思う方もいるかもしれませんが、おあいにく様、荷桁はそこまで勤勉かつミーハーではございません。もちろん今回からしばらくやるレポートは移転前の旧・名古屋競馬場の話でございます。



 とは言いながら、名古屋競馬場に詳しくない方からすれば、新だの旧だの言われてもちんぷんかんぷんだと思いますので、まずはそのへんの話からしていければと思います...


名古屋競馬場の移転



 さて。というわけで、名古屋競馬場だ。



 個人的な話をすると、名古屋競馬場は荷桁が20歳だった2007年に初めて訪問し、以来15年ほど通っている競馬場である。荷桁の地元が愛知県ということもあって、特に正月開催の際にはほぼ毎年行っていた競馬場ということで、全国数多のレース場の中でもかなり通っている方の競馬場と言ってもよいだろう。



 ところが、2016年に名古屋競馬場が移転するという話が持ち上がったのである。2026年に名古屋で行われるアジア競技大会の選手村に同地を利用するというのが理由だったが、まあそれ以外にも老朽化した競馬場設備の問題とか、周りに住宅があってナイター開催がしづらいとか、そういう諸々の問題もあったのだと思う。折しも2016年と言えば、ネット販売の隆盛もあって、名古屋競馬場の累積赤字解消がいよいよ現実的になってきたタイミングだ。このタイミングで競馬場を移転し、競馬運営を”勝ち戦”に持っていくという意味では、戦略的には正しいと言えよう。




新名古屋競馬場



 移転先は名古屋競馬場のトレセンがあった弥富の地。もともとのトレセンコースをそのまま流用するという意味では、門別競馬場の成立に近いものがある。周囲に人家もまばらな弥富ではナイター開催もできるし、厩舎に隣接していて馬の輸送コストもかからない。ファンにとっても、名古屋市内からのアクセスが遠くなり、実際に観戦に赴こうと思うとやや不便になるというのはあるものの、サステナブルに競馬を運営するという意味では賢明な判断だと言わざるを得ない計画であった。



 くどくど申し上げましたが、要するに何が言いたいかというと、2016年に名古屋競馬場の弥富移転が発表され、移転するのは少し寂しいものの、その内容自体は、ファンとしてはとやかく言うようなものでもなく、ここ数年、2022年の3月に名古屋市港区の通称”土古(どんこ)”での競馬開催は終焉を迎えるという前提で、荷桁はここ数年、黙々と名古屋競馬場に通っていたということなのである。




名古屋競馬場73年ありがとうございました



 詳しいことはこちらのレポートで述べたが、土古の地での競馬開催は昭和24年からなので、当地での競馬開催は73年間ということになる。



 前述のとおり荷桁が初めて名古屋競馬場を訪問したのは15年ほど前なので、その歴史を考えると、ほんのわずかな期間ということになるのだが、それでも名古屋競馬場の後半1/5ほどの期間を、誰に頼まれた訳でもないが、細々と記録していたということになる。




名古屋競馬場のパドック



 名古屋競馬場という競馬場は不思議な競馬場で、名古屋市という日本国内でもそこそこでかい都市にある競馬場なのだが、何故か妙にのんびりしていて、いい意味でも悪い意味でも昭和から時が止まっている競馬場であった。




名古屋競馬場の食堂



 場内には、コテコテの名古屋弁が飛び交い、食堂ではいかにも名古屋のブルーカラーが好みそうな赤味噌まみれの濃い味メニューが並び、そして特観席以外の場所だとどこにいても夏は暑くて冬は寒い、昔ながらの地方競馬場であった。



 荷桁の場合は、地元が愛知県で、母方の実家が名古屋市中村区のコテコテしたエリアにあるということもあって、こうした名古屋競馬場の雰囲気というのは馴染みやすいというか、ほぼ実家のような安定感があったので、”よそ者”として旅打ちに行くほかの競馬場に比べて、見えたり感じたりするものも違っていたことと思う。




名古屋競馬場の風景



 名古屋という街は、日本国内でもまだ比較的裕福なエリアだ。メーカーの正規雇用も多く、もともといいところに勤めていてきちんと年金をもらっている老人も多い。



 東京のようにハイパー金持ちがゴロゴロいる訳でもいない、かと言って大阪のように政治とスブズブになって一山当ててやろうという輩がウヨウヨ沸くところまでは追い込まれていない、ひと昔前の牧歌的な日本というのがまだこの地ではどうにか成立している。そんなところも、競馬場の雰囲気がさほど変わらない理由なのかもしれない。




名古屋競馬場の風景



 そう感じていたのはこの10年ほど、大阪・東京を転々としてきた自分だけだったかもしれないが、何かと世知辛い令和の世において、この昭和牧歌的空間というのは貴重だった。この競馬場が移転することで、何となく、たまに帰郷したときに立ち寄れる名古屋の牧歌的な雰囲気を感じられる場所というのが無くなってしまうというのは、素直に寂しくもある。




名古屋競馬場のオムツ取替所



 今、このレポートを書いているのは2022年の5月4日だ。4月に新競馬場での競馬がスタートし、この数日前には超満員の中で交流重賞かきつばた記念が行われた、そんなタイミングである。荷桁はまだ新競馬場には行っていないが、しばらくは行くつもりもない。オムツのようにさっさと新しいものに取り替えればいいというものではないのだ。ひとまず自分が新しい競馬場に行く前にやるべきは、土古にあった頃の名古屋競馬場の様子をしっかりと記録することだ。



 思えばこのブログでも最後に名古屋競馬場レポートをアップしたのは2013年と、もう9年も前のことである(このブログはトータル13年以上やっております)。当然のことながら、この9年の間に何度となく名古屋競馬場には行っているし、そのたびにいろんな風景を目に焼き付けてきた。とりあえず、競馬場の訪問記を名乗っているこのブログにその記録を残さない訳にはいかんでしょう。




名古屋競馬場の景色を刻み込む



 っつーわけで、うだうだとしょうもないことを書き連ねましたが、今回からはしばらく、旧・名古屋競馬場のレポートが続きます。先述の通り、最後のレポートから9年以上経っておりますので、その間に訪問した名古屋競馬場の様子を中心に、「かつて土古の地に競馬があった」という景色を皆さんの心に焼き付けていきたいと思いますので、よろしくお付き合いをいただければ幸いです。



 さっさと新しい競馬場に行ってそのレポートを書けよと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ここはそういうブログじゃないので、ご勘弁いただければと思います・・・。それではまた次回。




 



>>名古屋競馬場レポートその24へ




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*名古屋競馬場に関する記事は以下にもあります。

 名古屋競馬場 その1 ~あくまで土古~
 名古屋競馬場 その2 ~名古屋競馬場 パドック~
 名古屋競馬場 その3 ~名古屋競馬場グルメ~
 名古屋競馬場 その4 ~JBC09' in "どんこ"~
 名古屋競馬場 その5 ~あらためて名古屋競馬~
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