日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。
そこに競馬があるから > 名古屋競馬場 > 名古屋競馬場 その47 ~名古屋競馬場グルメをしのぶ 当り屋~
名古屋競馬場の当り屋
*名古屋競馬場レポートのつづきです。
初めからお読みになる方は名古屋競馬場レポートその1からどうぞ。
毎度どうも。荷桁です。今回も懲りずに旧名古屋競馬場、通称どんこ競馬場のグルメについて見ていくことにいたしましょう。毎度繰り返しで恐縮ですが、いきなりこの記事に飛んできてどんこ競馬場グルメの全体像が理解できていない場合はこちらの記事に先に目を通しておいていただけると話が早いので、お手数ですが、よろしくお願いいたします。
さて。今回ご紹介するどんこ競馬場グルメは「当り屋」さんでございます。当り屋は食堂棟にある、正統派の食堂でした。おそらく外側で売っている串カツなどを買ったことがあるという方も多かったはず。食堂棟、西側の「すみれ」と並んで「屋号は覚えてないけど、なんかここの串カツやどて串は買ったことがあるかも・・・!」という方は多いのではないでしょうか。
今回もそんな当り屋さんの様子をじっくり振り返っていければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします...
さて。っつーわけで、どんこ競馬場の当り屋である。
荷桁がちょっと前まで住んでいた大阪ディープサウス界隈で「当り屋」と言えば、なかなかパンチの効いたご職業を指す訳だが、ここ、どんこでの当り屋さんは見ての通り、普通の食堂なのでくれぐれも誤解のないように。当り屋の当りはいわゆる「体当たり」ではなく、当然、馬券の当たりにかけたゲンのいい店名であると考えるべきである。
しょうもない話はさておき、まずは当り屋の外観から見ていこう。
当り屋の間口は大島屋などと同様に幅広になっており、右サイドに外向けの販売窓口があり、左側に店内への入口があるというスタイルだ。入口付近にはドリンクやアイスクリームの冷蔵庫なんかもあり、保持しているスペースにはとりあえず商品を陳列しておくという商売上手な店であった。
店内に入る前に外側の販売窓口から。
ここは串カツ、おでん、唐揚げなどの軽食や生ビール、チューハイなどの酒類、さらには発泡スチロールの容器に入れた串カツ丼、どてめし、カレーライスなどめしものも販売していた、総合窓口であった。いくら店内で飲み食いできるとは言え、地元競馬オヤジに混じって、店内でメシを食うのは憚られるというライト層が、気軽にどんこ競馬場のメシを味わうにはこうした外向きの販売窓口がピッタリであった。
ここをお読みの方の中にも「ああ、なんか、どんこ競馬場に行った時に、こういう店でなんか買ったかもしれん・・・!」という方がいることと思う。その場合、その店は入場門の西側にある「すみれ」である可能性もないこともないが、おそらくここ当り屋であろう。
この販売所には大きな味噌鍋があり、その中では、串にささったとんちゃん(いわゆるどて串)が、大量に煮込まれていて、非常にいい匂いを発していた。
加えて、その大きさに定評がある唐揚げ棒、串カツなどが主力商品として売られていた。
店員さんは皆、青いシャツを着ていて、統率が取れているのも当り屋の特徴であった。さすがに、あの色のシャツを買ってきて持参しろということはないだろうということで、制服支給の店だったのかもしれないな。
この鍋の汁はみそだれとして機能しており、どてめしの注文が入ったら、串から外したとんちゃんをメシに乗せてこの鍋の汁をちょちょっとかければ完成。そのほか、店員さんに「串カツは味噌にしてちょ」と言えば、この鍋にドボンと浸して味噌串カツも即座に一丁上がりというスンポーだ。
さて。それでは当り屋の店内に入っていこう。
当り屋はいわゆるカウンター席っぽいものはあまりないお店で、テーブル席がメインであった。それなりに収容人数はあったものの、回転率重視というよりは、常連さんがゆっくりメシを食ったり酒を飲んだりといったところに重きを置いている雰囲気が感じられた。別に裏を取った訳ではないが、売り上げは何だかんだ、外向きのテイクアウトの方が多かったのかもしれないな。
当り屋の店内のスペースの大半は調理場が占めており、忙しい時間帯には、酒を作ったり、メニューの注文を取ったりと、店員さんがバタバタしていて、競馬場の食堂という感じでそれもまた良かった。
モニターは一番奥に一台。だが、あそこにあれば、店のどこで飲み食いしていてもバッチリ観ることができる絶妙なポジションに鎮座していたぞ。
さて。店内を見たところで、当り屋のメニュー構成も確認しておこう。
当り屋のメニューは、なかなか硬派な感じであった。
特に飲み物メニューはソフトドリンクの表記が一切なく(実際は外でペットボトルのお茶とかを売っているのでないことはないのだろうが)、ここは酒を飲む店なんだということがよく分かるぞ。しかし実際問題、若い女性をここに連れていって、このメニューを見せて「飲み物は何にする?」とか訊いたら、今のご時世だったらそれだけでアルハラ認定されてしまう可能性すらあるよな・・・。
アルコール類の他は、おつまみにピッタリの、揚げもの、さしみ、関東煮(=おでん)、焼き魚、どて煮、串カツ、とんちゃん(=どて串)などが脇を固めていた。
ほか、定食、カレー、丼もの、ラーメンなど、メシものも充実。1300円のエビフライ定食もありつつ、串カツ丼やどてめしはワンコインの500円を貫くなど、チープ&豪華とメリハリのついたメニュー構成がいい感じであった。
壁にもメニューがはってあったが、卓上のメニューと大きく変わる部分はなかった。
メニューにあった「おかず」「焼き魚」などは、こちらのショーケースから取るスタイル。だいたい鮭とかサバとかがあり、朝定食にも転用されていたりした。
さあ、それでは、ここからは当り屋で実際に食したものを見ていくことにしよう。
まずは、生ビール、味噌串カツ、とんちゃんである。どんこ競馬場で酒を飲むなら、まずはコレ!という感じですな。他のお店ではあまりついてこない、キャベツの千切りも野菜不足のオッサンにはありがたい配慮である。
味噌串カツは、店頭の串カツを先述の味噌鍋に浸したシンプルなもの。とんちゃんも味噌鍋の中で煮込まれているものをひょっと取るだけなので、どちらもスピードメニューなのだ。作り置きだなんだととやかく言うなかれ、こういう作り置きの揚げ物でも美味しく食べられるのが、味噌串カツなのだ。
ちなみに、とんちゃんはいわゆる「どて串」ともいわれるもので、豚の臓物を味噌で煮込んだどて煮の串打ちされた版だと思っていただければOK。以前ご紹介した「大島屋」ではどて煮が豚バラ、「酒津屋」ではどて煮が牛スジだったので混乱させてしまっているかもしれないが、本来名古屋でスタンダードな「どて煮」と言えばとんちゃんの味噌煮なので、当り屋のスタイルがよくあるパターンだと思っていただくのがよいだろう。このあたり「とんちゃん串」と呼ぶか「どて串」と呼ぶかは、もはや店の人や客の呼び方次第なところがあるので、店ごとに形成されている小宇宙の問題だと考えてくれたまへ。
さらに刺身。あらぶ以外ではこうした刺身を出すお店は当り屋くらいだったかもしれないな。
刺身をゆるゆるとつまみながら焼酎の水割りをぐびぐび飲んでいると、どんこ競馬場の昼下がりという感じで良かったのう。
メシものではどてめしも捨てがたいが、やはり串カツ丼であろう。どんぶりが漆器なので、味噌串カツを3本乗せただけの簡素な丼なのだが、何だか豪華に見えてくるのが不思議だ。
この串カツ丼が、シンプルでウマい。刻みのりもいい仕事をしているぞ。
ついてくる漬物も、なんと奈良漬。見た目の豪華さに一役買っている。組み合わせ的にも、甘めの味噌の味に、さらに甘いかす漬けというのが名古屋っぽいセンスでたまらないぜ。
さて。ここからは余談だが、かつて当り屋は食堂棟ではなく、スタンドの中に入っていた。第1スタンドの2階の一画にこんな感じで当り屋が営業していたのである。
ここでもとりあえず並べられるところには、商品を並べられるだけ並べるという当り屋精神が垣間見えるな。
パッと見では分からないが、この当り屋では中でもメシを食うことができて、中ではエビフライ定食をいただいた。見ての通り、でかいエビフライが3尾もついてきて、なかなか豪華な定食であった。
さて。そんなわけで、どんこ競馬場の当りの屋の思い出、いかがでしたでしょうか?
かつてはどんこ競馬場の第1スタンド内にあったということは、この当り屋もかなり昔から営業していてたことが想像される。繰り返しになるが、惜しい店をなくしたと言うか、ちょっとおおげさかもしれないが、文化的な損失と言う気もしてくるな・・・。まあ、今となっては後の祭りだが。
そんなわけでと言いますか何と言いますかですが、引き続き、次回以降もどんこ競馬場のグルメを振り返っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします・・・。
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