笠松競馬場 その1 ~名馬・名手の里~ そこに競馬があるから 忍者ブログ
日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。

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笠松競馬場
ご存知、笠松競馬場伝説の名馬オグリキャップ像。


 
 こんにちは荷桁です。前回まではマレーシアの競馬場などレポートしておりましたが、今回からはニッポンのTHE・地方競馬場である、笠松競馬場をご紹介していくことにいたします。


 名古屋出身の荷桁にとって、笠松競馬場は帰省時に開催していたらほぼほぼ立ち寄る場であるため、訪れた回数はそれなりに多い地方競馬場と言える。


 特に盆の帰省は名古屋より笠松の開催に当たることが多く(大体、くろゆり賞のシリーズに当たる)、毎年、夏になると何となく地元の友人などと連絡を取って、訪問することが多いのであります...




 まずはそんな笠松競馬場に関する講釈を、一通り垂れておくことにしよう。


 笠松競馬場は、岐阜県は笠松町にある競馬場である。



笠松競馬場
笠松競馬場の入り口。このこじんまり感がたまらない。


 東海地方以外の方はピンと来ないかもしれないが、笠松町というのは愛知県と岐阜県の県境に流れる木曽川沿いにある町で、古くから交通の要所であったため、近代においては岐阜県の中でもかなり栄えていた歴史のある町である。


 現在の場所に競馬場ができたのは1931年のこと。それから当地にて80年近くここで競馬が行われているということになる。


 後ほど詳しく語るが、歴史があるだけあって、敷地は狭く、施設面も増築・改築を重ねているため、地方競馬の中でも何となく規模が小さく貧弱なイメージを持たれやすい競馬場と言えよう。



笠松競馬場
笠松競馬場スタンド。旧スタンドは趣きたっぷり・・・というよりボロい。



 名古屋や岐阜などの都市圏を背後には抱えているものの、はっきり言って大都市にあるわけでもない笠松競馬場は売り上げ規模もぼちぼちの、日本においては平凡かそれ以下の地方競馬場である。


 しかし、この競馬場を語る上で外せないのは、何と言ってもそんな笠松競馬場が他の地方競馬場に比べて多くの名手・名馬を輩出しているということである。



 冒頭の写真にもあるように、もはや説明はいらないオグリキャップをはじめ、帝王賞勝ちのフェートノーザン、中央G1桜花賞を勝ったオグリローマン、中央G2を勝ったライデンリーダーなど、一介の地方競馬場としては驚異的な数の名馬を輩出しているのだ。


 騎手もまた然り。


 アンカツこと安藤勝己ジョッキー(引退)、その兄、安藤光彰ジョッキー(引退)、柴山雄一ジョッキーの3名のJRAジョッキーが笠松の出身。さらに兵庫のトップジョッキーである川原正一ジョッキーも元は笠松の出身と、多くの名手を輩出しているのである。
 


 さ、そんな素晴らしい実績を持つ笠松競馬場なのであるが、現在はなかなかに厳しい現実と戦っていると言えよう。



笠松



 荷桁がこの競馬場を初めて訪れたのは2006年の夏。



 実は笠松競馬場は2004年の時点で、2005年度に黒字収支が見込めなければ廃止になるという議論が沸き起こっていたのだ。2005年は何とか黒字は確保されたものの、賞金総額を下げるため、交流重賞オグリキャップ記念や全日本サラブレッドカップなどのダートグレードレースは共に地方交流競走に格下げ、という憂き目にあったのである。



笠松競馬場


笠松競馬場 Kasamatsu Racecourse



 荷桁が訪れたのはそんな崖っぷちの経営が始まって2年目以降のこと。


 当然のことながら、笠松競馬場は、このとき既に、おせじにも活気があるとも言えぬ場内で何十年も通いつめる老人たちが小金で3連単を買って画面を見ながら唸っているだけという、典型的な末期状態の公営レース場の様相を呈していたのだった。



笠松



 悪口ではなく、もちろんそののんびりした雰囲気こそが笠松の魅力であることは言うまでもないし、準地元の人間からしたら、Tシャツにサンダルでぶらっと行けて、地の言葉が飛び交い、地元のB級グルメも堪能できて、さらに競馬まで楽しめる笠松競馬場は、夏の1日を過ごすにはこれ以上ない最高の場所なのだが、同時に、廃止論議がリアルすぎて、どうにか守られないものかなあ、と寂しく思ってしまう場所でもあるというが、正直なところだ。



笠松競馬場 誘導馬
誘導馬のエクスペルテくん。中央で一走して大敗し、そのまま笠松の誘導馬になったそうな。



 しかし、2009年末、そんな先行きが不透明な笠松競馬場に一頭のヒロインが登場した。



 その名も「ラブミーチャン」。ドクターコパ氏が馬主でこの名前という、いかにもキワモノといった感じの牝馬なのだが、笠松でデビューし2連勝をあげると、中央の500万条件をレコードで快勝。あれよあれよというまにG2兵庫ジュニアグランプリを勝ち、ついにはG1である全日本2歳優駿を圧倒的な強さで逃げ勝ってしまったのである。鞍上は笠松のベテラン濱口楠彦騎手というのもまたよかった。


 この快進撃に、地元笠松は大喜び。もちろん荷桁も大喜び。


 ライデンリーダー以来の中央クラシックが狙える馬が笠松から出たのである。


 何度も言うが、これは凄まじいことなのである。ここ20年ほどで、笠松レベルのほかの地方競馬場からこんなにグレードレースをフツーに勝つ馬が現れたことがあるだろうか?いやないだろう(反語)。まして、クラシックが狙える馬なんて言ったらこれは、とてつもなくすごいことなのである。


 兎に角この快進撃に地元は沸いた。


 そして年の明けた2010年2月。この年の初戦にラブミーチャンが選んだレースは笠松の重賞「ゴールドジュニア」だったのである。


 ・・・これは見に行かないわけにはいかない。


 と、言うわけで、次回からはラブミーチャンの凱旋レースである2010年度ゴールドジュニアの当日の様子から笠松競馬を紹介していきます。






>>笠松競馬場レポートその2へ




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