イポー競馬場 その2 ~億万長者の街・美食の街 イポー~ そこに競馬があるから 忍者ブログ
日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。

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Ipoh
イポーの旧市街

*イポー競馬場レポートのつづきです。
初めからお読みになる方はイポー競馬場レポートその1からどうぞ。






 どうも。荷桁です。



 さて、前回より始まりましたイポー競馬場レポートなのですが、読んでおられる方の多くは「ごめん、そもそもマレーシアのイポーと言われてもよく分からないんだけど」という方も多いと思うので、今回は競馬場に行く前の基礎知識として、イポーの街やその歴史についてお話ししたいと思います。



 まあ、競馬に行くにあたり、そんなに詳細に詳しくイポーの街を知っておく必要もないのですが、そのへんは「旅打ち」ブログということで、どうせなら「旅」の方も楽しんでいただければ幸いでございます。



 それでは、まいりましょう。イポーの街についてでございます...


イポー市街地



 さて。そんなわけでイポーである。



 イポー市はマレーシアのペラ州というところにある。ペラ州はマレーシア半島部の西海岸北部に位置する州で、「ペラ」はマレー語で「銀」を意味するが、実はかつては錫(すず)の鉱山で栄えた歴史を持ち、その発展の過程で多くの中国系移民が移り住んだため、マレーシアの中でも特に中華系住民が多いことで知られている州だ。



 もともとこの地はマレー系の王族(スルタン)がおさめていたのだが、19世紀中頃、ペラ州のラルート地方(現在のタイピン周辺)で大規模な錫鉱床が発見されると、採掘権や利権をめぐって、マレー王族と採掘に従事していた中国系移民の組織による抗争が勃発したらしい。



  この抗争が内戦レベルにまで発展すると、当時海峡植民地(ペナン・マラッカ・シンガポール)という貿易の拠点を「点」で持っていたイギリスが、錫の利権と治安維持を理由に介入。1874年にはイギリスとペラ王国の有力者たちとでパンコール条約が結ばれた。これはまあ要するに、イギリスが華僑の抗争を鎮圧してやるから、その見返りとして、イギリス人駐在官をペラ王国に置く。基本今後はそいつの言うこと聞いておけ、というものだった。要するに、ペラ王国はあって、王様もいるにはいるが、実質イギリスの保護国(植民地みたいなもの)になってしまったのである。



 ほぼイギリスの保護国となって以降、初期の錫採掘景気の中心地となったのはタイピンという都市で、ここがイギリス支配下の行政の中心地として発展していた。しかし、後にタイピンよりも南にあるキンタ渓谷周辺で、さらに大規模な錫の鉱床が発見された。これにより、その中心都市であるイポーが急速に発展。マレー半島有数の大都市へと成長し、経済的な重要性や立地の利便性から、あっという間にタイピンを凌駕するようになった。



 その後の第二次世界大戦中の日本占領下で州都がイポーに移転。大戦後にイギリスの統治に戻った後もペラ州都はイポーに据え置かれ、現在に至っている。



 いろいろ言うたが、まあペラ州は最初タイピンが栄えていたが、その後はイポーが確変的な勢いでドーンと発展して州都になった、というところだけ押さえていただければOKだ。








 こちらがイポーざっくりした位置。鉱山で栄えただけあって、やや内陸である。



 イポーはキンタ渓谷での錫鉱山の発見を機に急速に発展した。前述のとおり、中国南部から大量の移民(華僑)が流入し、イポーは彼らの経済活動により爆発的に繁栄。「億万長者の街」と呼ばれるほどになったそうだ。そして錫の輸出を支えるため、港(クアラルンプールやペナン方面)へつながるマレー鉄道が敷設され、交通の要衝としての地位も確立したことが、州都となる決め手となった。



 しかし1980年代半ばの錫価格の暴落と鉱山の枯渇により、イポーの錫産業は終焉を迎える。その後、イポーは産業構造を変え、豊富な石灰岩資源を活かしたセメント・建材業、そして清浄な湧水を活かした電子・電気製品製造業などに軸足を移した。周辺地域を含めると人口100万弱の都市圏となっている。



 現在は、錫景気時代に建てられた市街地の豊かな歴史的建築物や、郊外部の鍾乳洞の寺院などを見学できる歴史観光の拠点に。そして、特に中国系移民の食文化が発展した「美食の街」としても広く知られる、魅力的な町となっている。




イポー市街地

イポーの建物



 実際にイポーの街に行ってみると、まあいわゆるマレーシアの地方都市という感じで、低層建築が広がっており、中華風と言われればそう見えるし、マレー風と言われればそう見えるし、欧風と言われればそう見えなくもないし・・・といった感じの、街並みが広がっている。荷桁は競馬もあってマレーシアの地方都市に比較的よく行っている方だが、だいたいどこも中華系の移民が多く、こんな感じに仕上がる感じなのよな。




イポー市街地のごみ



 ちなみに、シンガポールとマレーシアの差分として、やっぱりマレーシアの方が汚いっつーのはある。まあ、行き慣れればなんてことないのだが、裏通りに入ると、ごみとかはフツーに落ちている感じで、朝にはネズミの死体などもそのへんに転がっていたりする。いわゆる東南アジアっぽい感じだ。



 ただ、まあ治安が悪い感じはしないので、本当に真っ暗な道を女子が一人で歩く、みたいなことをせん限りは、ヤバイ雰囲気は感じなかった。まあ良くも悪くも田舎町という感じですね。







 さて。では実際に荷桁がイポー市内で見て回ったあたりを見ていこう。



 イポーは市街地がコンパクトにまとまっている。市街地の中心に南北にキンタ川という川が流れていて、その左側が旧市街、右側が新市街と呼ばれている。




イポー駅



 まずは旧市街から。



 旧市街のランドマークはやはりマレー鉄道のイポー駅。1917年に建設されたコロニアル建築の駅舎が有名だ。




イポー駅近くのバーチ記念時計塔



 そのイポー駅近くには1875年に暗殺された初代イギリス駐在官 J.W.W. バーチを記念する「バーチ記念時計塔」もある。さっきも書いた通り、イギリスはペラ王国の植民地支配を強めるために駐在官を置いておりバーチはその初代ということになる。イギリスからしたらバーチは英雄でこんな塔も作られるが、まあマレーシア人からしたら侵略者とも言え、なんとも言えない当地の歴史が感じられるスポットとなっている。




Ipohの旧市街

Ipohの旧市街



 ほか旧市街ではその狭い路地をアートで彩ったり、古いショップをレトロなカフェや雑貨やとして再利用するような形で再活性化されていて、いわゆる映えスポットとして、観光客に人気のエリアとなっている。




イポーの街並み



 次に新市街を見ていこう。



 新市街は20世紀に入ってからキンタ川の東側に徐々に広がっていった市街地だ。区画や道幅も近代的で、現在もイポーの経済の中心的な界隈になっている。




イポーの新市街の入口



 新市街の観光の中心は Gerbang Malam と呼ばれるエリアだ。




イポーの新市街



 ここはナイトマーケットをやっているエリアで夜はこんな感じで店が出るが、服やカバン屋が中心で、観光客にとってもあんまり面白くないラインナップであった。




イポーの新市街の街並み



 観光客にとってはむしろこのあたりにある、土産屋やレストランが面白い。ここは昼から開いていて、ホワイトコーヒーなどの当地土産や、ご当地グルメが楽しめるので、イポーに来たらとりあえず、この辺来とけ、という感じのエリアと言える。




イポーの超有名店老黄芽菜雞沙河粉



 イポーで必食とされているご当地グルメは、もやし鶏(Tauge Ayam)である。もやしという言うのが意外な感じだが、イポーのもやしは世界一ウマいとされていて、とりあえずイポー来たらもやし食っておけ的な存在なのである。



 こちらがそのもやし鶏(Tauge Ayam)屋の中でも最も有名な老黄芽菜鶏沙河粉 (Lou Wong Tauge Ayam Kue Tiau)。いわゆる中華料理屋なのだが、ほとんどの客はもやしを食いに来ているという店だ。




イポーのもやしと鶏肉と河粉のセット



 こちらが、イポー名物のもやし鶏である。




イポー名物のもやし



 これが、主役のもやし。ボイルしたもやしにタレと香辛料とネギをかけたものだが、まあ、確かにウマイ。イポーのもやしは太くて瑞々しいとされているが、確かにそんな感じがする。




イポー名物もやしのつけあわせの鶏肉



 そして鶏肉。これももやしと似たような感じのタレがかかっていて、まあ、ウマい。これは特にイポーに独特という食べ物ではないのだが。




イポー名物もやしと食べる河粉



 この、もやし鶏と一緒に食べるのが良しとされているのがこちらのサー・ホー・ファン(沙河粉)。これはイポー周辺でよく食べられている平打ち麺で、当地の豊富な湧水を使っていて、これも有名なご当地麺といえる存在だ。




イポーの安記芽菜雞沙河粉



 ちなみに、このもやし鶏屋はさっき紹介した店以外にも、安記芽菜鶏沙河粉 (Onn Kee Tauge Ayam)などが、このエリアに集まっている。出しているものはほぼ同じなのだが、写真の安記はビールが飲めるので、飲みたい人はこっちがおススメだ(荷桁は両方行きました)。




イポーのもやし



 ちなみに、イポーの市場に行くと、個人店レベルのもやし業者が店を持っていて、もやしを販売している。



 イポーのもやしはドラム缶で栽培されるようで、ドラム缶の状態で市場に持ってこられてこちらでバラされるようなイメージだ。




イポーのもやし

イポーのもやし



 瑞々しさを保つため、もやしは水にさらされ、その場で袋詰めされて売られていく。日本のように工場で袋詰めされるものに比べると、確かに質や鮮度が何となくよさそうな気がしてくるぜ。




Ipohのtofa



 ほか、スイーツ系ではトウファ(豆腐花 / Tau Fu Fah)も有名。トウファは、甘いシロップをかけて食べる温かい豆腐プリンのようなデザートで、奇峰豆腐花という有名なお店が旧市街にもある。



 ここまで見てきたイポー名物のもやし、沙河粉、豆腐花に共通しているのはイポー周辺の石灰岩の層を通って濾過されて湧き出てくるミネラル豊富な地下水や湧水を使っているということ。イポーが美食の街と称される理由はこのへんにある。




Ipoh

イポーの屋台街



 また、レストラン以外にも、屋台村的なスポットが市内にはちょいちょいあり、朝飯から夕食まで、地元民の利用で賑わっている。




Ipohの屋台飲み



 こういうところでは、いわゆるマレーシアっぽい料理を楽しむことができる。ただ一点、イスラム系だけあって、酒を出す店が限られているので、吞兵衛の方は、そこだけはうまく見極めてくれい。でかでかとタイガービールの看板が出ている店でもフツーに出していないとかあるので騙されないように・・・。



 わりと規模が大きい中華料理や海鮮系のお店でビールだけ売ってもらったり、共同売店などで手に入れるのが吉。まあそのへんはアジア旅と思って楽しみながら調達してくださいませ(コンビニにはビールを中心にわりとフツーに売っていたので、屋台でめしだけテイクアウトしてホテル飲みというのもアリでっせ。




 さて。そんなわけで、イポーという街についていったん予備知識的に解説いたしました。まあ、マレーシアに行くことはあってもイポーに行くことはあまりないかなと思いますので、こんな感じの街なんやなあとひとまず思っていただければ幸甚です。



 次回はこのレポートの内容も踏まえて、イポー競馬場の歴史なんかの話をできればと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします・・・。





 


>>イポー競馬場レポートその3へ





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