ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その35 ~タイの競馬と熱気と景色~ そこに競馬があるから 忍者ブログ
日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。

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The Royal Bangkok Sports Club ราชกรีฑาสโมสร
ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場


*ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場レポートの続編です。
初めからお読みになる方はロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場レポートその1からどうぞ。





 どうも。荷桁です。



 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場レポートもとうとう35本目となりました。ここまでのレポートで、この競馬場についてはアクセスからグルメまで、おおよそご紹介することができましたが、もう少しだけお付き合いいただければと思います。



 国際セリ名簿基準委員会のカテゴリを見ると、アジアでは日本と香港がパートⅠ国、インド、韓国、マレーシア、シンガポールなどがパートⅡ国に位置づけられ、世界の競馬市場の中で切磋琢磨しています。ではタイの競馬はどうかと言うと、パートⅢ国も含めてそれらのカテゴリには属しておらず、世界的に見た場合はやや番外地の競馬だと言えます。ただ、そうは言いながらも100年以上当地で続いているこの国の競馬はやっぱりこの国の伝統であり、レベルが低いだのなんだの言って放っておくのは勿体ないことであります。また、その一方で以前のレポートでもお伝えした通り、タイはこの数年競馬場の閉鎖が続いており、この競馬場もいつまで続くかという部分では何とも言えない状況です。



 辛気臭い話をする気は毛頭ありませんが、ひとまず今回のレポートでは2018年乾季のロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場はこんな感じだったんだよということを写真と共に振り返りつつ、ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場の一連のレポート群の中締めとさせていただければと思います...


ロイヤルバンコクスポーツクラブのフロアの様子



 同じバンコクにあって、既になくなってしまったロイヤルターフクラブ競馬場に行った時もそうだったのだが、タイの競馬場ではそこに集う人々の熱気が思った以上に感じられる。単純にタイが暑い国だからということもあるかもしれないが、それだけではない。この国では競馬はある種”落ち目”なギャンブルなのだが、それでも競馬が好きで足を運んでくるファンたちがまとっている独特の熱さが、この熱気の根源にあると思う。競馬オヤジたちそれぞれの背中が「誰が何を言おうと俺はこの遊びが好きなんだ。文句あっか。」と語っているように見えてならないのだ・・・。



 今、日本の多くの公営レース場は売り上げこそネット投票の整備で上がってきているものの、本場への観客動員には苦戦している(ないし諦めている)場が多いと言ってよいだろう。ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場も法的なこともあってかネット投票が整備されておらず、本場を中心とした売り上げ構成から脱却できずジリ貧となっている。ただ、その代わりよくも悪くも、この国において競馬はまだ「本場に行かないと味わえない娯楽」なのだ。



 ネット投票が売り上げの大半を占める時代の公営レース場に慣れきってしまった身でこの競馬場に来ると、不思議な懐かしさを覚える人はきっと多いことだろう。ひと昔前の日本の公営レース場ならどこでもきちんと提供してくれていた、そこはかとない高揚感を、この競馬場は思い出させてくれるのである。




ロイヤルバンコクスポーツクラブの黒板前に座るオヤジたち


ロイヤルバンコクスポーツクラブの黒板前に座るオヤジたち



 そして、この競馬場ではこのとおりまだまだ競馬オヤジたちが好き放題やっているのもポイントだ。



 前述のとおり、この競馬場はバンコクの中心部にも関わらず、若者や観光客がワイワイやってくるようなスポットではなく、あくまで地元オールド競馬ファンの集う施設である。



 長年この競馬場に通い続けたファンたちは、この競馬場の空気に見事に溶け込み、この競馬場の魅力を醸成するのに一役買っている。せっかくレース場を訪問してもファンが全然いなくてガランとしていたり、一見さんの観光客ばかりでは興醒めしてしまうが、この競馬場ではその心配はいらない。極めて純度の高いバンコク競馬オヤジたちの群れに飛び込んでワイワイと予想に勤しんでくれたまへ。




競馬場内でくつろぐオヤジたち


競馬場内でくつろぐオヤジたち


競馬場内でくつろぐオヤジたち



 こうして競馬オヤジたちがワイワイやっている光景もきっと何十年も変わっていないのだろう。それはそれでいいのか悪いのかというとまたいろいろ問題はあると思うが、まあいいではないか。



 バンコクはバンコクでもの凄いスピードで変化している街である。その中で変わらない空間というのは貴重な存在だと言えよう。




ロイヤルバンコクスポーツクラブのスタンドのオヤジたち


ロイヤルバンコクスポーツクラブのスタンドのオヤジたち



 スタンドに出て見てもよく分かるが、この競馬場では競馬はしっかりとギャンブルだ。潔いくらいに。



 競馬は社交の場だとかレジャーだとかいう言説は少なくとも一般人の集うスタンドでは感じられない。缶ビールを飲み、ひまわりの種の皮をそのあたりに撒き散らしつつ、ワイワイとレースを眺める。それでいいのだ。




ロイヤルバンコクスポーツクラブのスタンドのオヤジたち


ロイヤルバンコクスポーツクラブのスタンドのオヤジたち



 ここに来ている競馬ファンたちは、普段どんな仕事をしているのだろうか。収入はどのくらいあって、どのくらいの金額の馬券を買っているのだろうか。一体何をきっかけに競馬に来るようになったのであろうか・・・。そんなことを考えながら彼らを観察しているとあっという間に時間が経ってしまう。興味は尽きない。




ロイヤルバンコクスポーツクラブのスタンドのオヤジたち


ロイヤルバンコクスポーツクラブのスタンドのオヤジたち


ロイヤルバンコクスポーツクラブのスタンドのオヤジたち


ロイヤルバンコクスポーツクラブのスタンドのオヤジたち



 2019年現在、ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場の開催は月に2~3日。ロイヤルターフクラブ競馬場が無くなって以降、バンコクの競馬ファンは競馬を楽しむ日程を半分失ってしまったということになる。



 こうして気だるそうにレースを見つめるオヤジたちではあるが、競馬を楽しめるのは月に2~3日。そしていつ廃止になってしまってもおかしくない状況が続いている訳で、この楽しい状況がずっと続くものでないこともぼんやりとは認識していることだろう。



 楽観的なタイ人のこと、無くなったらなくなったで別のバクチを打てばよいやと考えているかもしれないが、そういう前提で彼らを眺めると、そこはかとない哀愁を感じなくもない。



 先ほどから、タイの競馬オヤジに対して、熱気を感じて見たり、哀愁を感じて見たりと、絶対本人らそこまで考えていないやろというツッコミが入りそうだが、こういうのは勝手に妄想して楽しんだもん勝ちなので、あまり深くは考えんといてくださいな笑




ロイヤルバンコクスポーツクラブの1階で客の横を通る馬


ロイヤルバンコクスポーツクラブの1階で客の横を通る馬


ロイヤルバンコクスポーツクラブの1階で客の横を通る馬


ロイヤルバンコクスポーツクラブの1階で客の横を通る馬



 また、ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬にはオヤジたちだけでなく、そこで働く人、なんとなくついてきているのか分からない人など実に様々な人がいる。彼らと馬との気張らない距離感を観察するのもまた一興である。



 非日常の競馬も、立場が変われば日常の競馬・・・。両方を感じられるのが、競馬場の醍醐味である。




ロイヤルバンコクスポーツクラブから見る摩天楼



 さて、ここまでロイヤルバンコクスポーツクラブの人についてつらつらと書いてきたが、実はこの競馬場にはもうひとつ、大きな魅力がある。それは世界的大都市であるバンコクの都心にあるというそのロケーションだ。



 ロケーションだけで言えばハッピーバレー競馬場とタメを張れるくらいの都市型競馬場なのに、そこがあまりクローズアップされないのは勿体ないことだ。自然豊かな競馬場やのんびりした広い芝コースの競馬場なんてのは世界にいくらでもあるが、摩天楼とターフが同時に楽しめる競馬場はなかなかない。



 訪れた際にはこのビル群の借景も含めて楽しんでいただきたいものである。




ロイヤルバンコクスポーツクラブから見る摩天楼


ロイヤルバンコクスポーツクラブから見るBTS


ロイヤルバンコクスポーツクラブから見るBTS



 向こう上面の奥にはBTSも見えるので、鉄分も補給可能だぞ。




ロイヤルバンコクスポーツクラブの夕方


ロイヤルバンコクスポーツクラブの夕方




 さて。そんな訳でゆるゆるとロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場について語ってまいりましたが、そろそろまとめに入ることにしよう。



 ご覧になっていただいてお分かりかと思うが、この競馬場いかにもアジアらしい、熱気のある競馬場であることは間違いない。賑やかで飾らない食堂や屋台、そして騎乗前には合掌(ワイ)をする、どことなくあか抜けない騎手たち。ゴール前で大騒ぎする競馬オヤジたち・・・。



 日本の競馬場が再現できなくなってしまったレース場の雰囲気みたいなものを感じさせてくれる魅力的な競馬場なのでバンコク観光の際にタイミングが合えば是非行ってみてくだされ。



 ・・・という訳でロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場、ここらで一区切りとさせていただきます!といきたいところなのですが、もう少しだけご紹介したいことがありますので、次回、もう一本だけレポートさせてください。申し訳ありませんが引き続き何卒よろしくお願いいたします・・・。




 



>>ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場レポートその36へ




*この競馬場が好きな方はこちらの競馬場もお好きだと思われます。

 ロイヤルターフクラブ競馬場 その1 ~タイからのニュース~
 フートー競馬場 その1 〜さらにベトナム競馬へ〜
 セランゴール競馬場 その1~いざマレーシア競馬~
 ペナン競馬場 その1 ~再びマレーシア競馬へ~
 クランジ競馬場 その1 ~いきなりお詫び~
 ソウル競馬場 その1 〜韓国競馬に手を出すぞ〜




*ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場に関する記事は以下にもあります。

 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その1 ~再びバンコクへ~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その2 ~開催日程と歴史について~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その3 ~競馬場へのアクセス~
  ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その4 ~いざ新スタンドエリア内へ~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その5 ~馬券の買い方と種類~
  ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その6 ~競馬新聞と予想~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その7 ~新スタンド2階~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その8 ~新スタンド3階~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その9 ~新スタンド4階~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その10 ~新スタンド 1・2階観覧席~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その11 ~新スタンド 3・4階観覧席~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その12 ~新スタンド 1・2階観覧席からのレース観戦~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その13 ~新スタンド 3・4階観覧席からのレース観戦~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その14 ~グランドスタンドへの移動~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その15 ~スタンドの全体像~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その16 ~装鞍所を経て本馬場入場まで~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その17 ~タイ名物 走路パドック~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その18 ~レース後の流れ~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その19 ~立派なコースと熱いレース~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その20 ~グランドスタンド1階 北~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その21 ~グランドスタンド1階 南~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その22 ~グランドスタンド2階~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その23 ~グランドスタンド3階~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その24 ~グランドスタンド4階~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その25 ~グランドスタンド 1・2階観覧席~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その26 ~グランドスタンド 3・4階観覧席~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その27 ~グランドスタンド 1・2階観覧席からのレース観戦~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その28 ~グランドスタンド3・4階観覧席からのレース観戦~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その29 ~内馬場のゴルフ場とクラブハウスエリア~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その30 ~バックヤードを覗き見る~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その31 ~バンコク競馬グルメ 新スタンドエリア編~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その32 ~バンコク競馬グルメ グランドスタンド編~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その33 ~バンコク競馬を攻略せよ 前編~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その34 ~バンコク競馬を攻略せよ 後編~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その35 ~タイの競馬と熱気と景色~
 ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場 その36 ~レースのあと~





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