中山競馬場 その5 ~中山競馬場をあらためて~ そこに競馬があるから 忍者ブログ
日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。

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中山競馬場の走路前の様子
中山競馬場


*中山競馬場レポートの続編です。
初めからお読みになる方は中山競馬場レポートその1からどうぞ。






 どうも、どうも。荷桁です。



 少し間があいてしまいましたが、今回からはタイトルにあるように中山競馬場の話をしていければと思います。



 これまで、このブログでは中山競馬場のレポートを4本ほどアップしてまいりました。しかし、それらのレポートは2011年頃に書かれており、もう5年以上も前のレポートとなります。さらには、ブログを始めて比較的間もない時期に書かれたレポートということもあって内容もほかの競馬場に比べて薄く、アンバランスな感じは否めませんでした。ここ数年、中山競馬場に関しては追加のレポートを書きたいものだと常々思っていたわけでございます...


中山競馬場のターフビジョン



 この間、まったく中山競馬場に行ってなかったのかと聞かれればそんなことはない。有馬記念が中心だが、だいたい毎年中山競馬場に顔を出すことが多かったと記憶している。所用があって中山に行けなかった年は何だかんだ1回くらいではなかったかと思う。
 



中山競馬場でのゴールドシップ引退式


中山競馬場でのゴールドシップ引退式



 もちろん、その間訪問した中山でもいろいろなことがございました。オルフェーブルの衝撃的な引退レースに「ウインバリアシオン何と不憫なことか!」と叫び、自分の馬券もそれ以上に不憫な結果になってしまったこと。ジェンティルドンナの引退レース、得意の府中で4着ののち、あまり走るイメージのない右回り、しかも初の中山ということもあり「絶対に来ないよ!」と、ジェンティルドンナを自信を持ってバッサリいったら、頭に来られて自分の財布がバッサリいかれたこと・・・。どれも涙なしには語りつくせないエピソードだぜ。



 そして写真にもあるように、ゴールドシップの引退式などもあった。この年は珍しくサウンズオブアース軸で馬券が当たり上機嫌であったため、酒をしこたま飲んで引退式では「シップー!辞めないでー!」と叫びまくり、その後なぜか出てきた北島サブちゃんにも「サブちゃんー!辞めないでー!」と叫びまくり完全にタチの悪い酔っぱらいになっていたという記憶がある。サブちゃんにはこの場を借りてお詫びを申し上げたいと思います。申し訳ございませんでした。




中山競馬場



 とまあこのように、個人的な思い出はたくさんあるのだが、中山競馬場そのものとはあまり関係ない荷桁の爆負けエピソードや酩酊エピソードが大半でこのブログの趣旨とは合う感じでもない。



 要するに何だかんだちょこちょこ中山競馬場には行っていたものの、馬券と酒ばかりやっていて、あまり細かなところまでゆっくり見る余裕はなく、追加のレポートを書くまでは至らぬまま、あっという間に5年の月日が流れてしまったと、背景としてはこういうわけなのです。要するに荷桁が自堕落であるということに収斂していくわけなのであります。こうして書いていても自分が情けなくなってくるぜコンチクショウ・・・。




中山競馬場




 そうして悶々としていた折、2016年の12月の有馬記念ウイークにて中山競馬場の3日間開催という日程があった。



 現在住んでいる大阪から一回の往復交通費で計3日も中山競馬場に行ける。思えばこれまでの人生で、中山大障害を見たことも実はなかったではないか。さすがにこれは行かねばなるまいということで重い腰を上げて、このたび中山競馬場への旅に出た訳でございます。



 そしてその間みっちり3日間中山競馬場に通うことができ、そのおかげで、だいぶ情報も集まったため、このたびこうして追加レポートに着手しようかと、こうなっているわけなのでございます。 




 というわけで、長々と前口上みたいなものを述べさせていただきましたが、要するに、今回からは中山競馬場のレポートがしばらく続くよということでございます。以前紹介した4本のレポートと重複する部分というのも出てくるかもしれないのですが、そのあたりはあしからずご了承ください。ちなみに、紹介する写真やエピソードは2016年12月のものが中心となりますが、一部それ以前の訪問時のものも混じると思われますのでそのあたりもお含みおきください。




中山競馬場の発走地点



 さて、それでは早速だが、いまいちど、中山競馬場の予備知識的な部分を整理しておこう。



 当たり前の話からでも申し訳ないが、中山競馬場は千葉県船橋市(一部は市川市)にある日本中央競馬会の競馬場だ。当地では1928年から開催が行われているという意外と歴史が古い競馬場である。



 一応中山競馬場の前身とされるのが同じ千葉県松戸市にあった「松戸競馬場」である。松戸競馬場では1907年に総武競馬会という団体により競馬が開催され、その後、運営主体を変えながら1919年まで競馬が続けられたとされる。



 松戸競馬倶楽部という団体が競馬をおこなっていた1919年に、松戸競馬場の用地が陸軍に接収されることになったため、1920年に開催地を東葛飾郡中山村大字若宮(現:市川市若宮)へ移転。同時期に運営主体も中山競馬倶楽部と名称が改められることになった。そして1927年にさらに少し北東側の東葛飾郡葛飾村大字古作(現:船橋市古作)にふたたび移転をして、1928年からレースが開始されて現在の中山競馬場に至ると、こんな流れで現在の中山競馬場は成立しているのである。。



 余談かもしれないが、松戸競馬場のくだりについては、先行研究がしっかりしているので、それをまとめたウィキペディアの松戸競馬場のページもかなり充実をしている。このページを読むだけでもかなり面白いので興味のある方は是非ご一読を。総武競馬会のメンバーは上野で闇競馬を開催した連中の流れを汲んでいるだとか、一周1600mを確保するためにぐねぐねしたコースだったとか、なかなか興味深い。現在の中央競馬の主要場のルーツになっているとは思えないテキトーな感じがたまらないぞ。




中山競馬場の肥田金一郎像



 1927年に市川市若宮から現在地の船橋市古作に移った経緯に関してはいろいろ言われているが、すごく簡単にまとめてしまうと若宮の競馬場が手狭になっていたため、移転をしたというのが本質的なところのようだ。



 この経緯についても先行研究がしっかりしているのだが、上の写真の銅像にもなっている肥田金一郎氏のウィキペディアに詳しく載っているので気になる方はこちらもご参照いただきたい。肥田金一郎氏は中山大障害を創設するなど、のちの中山競馬場の礎を築いた、競馬ファンにとっては偉大な人物である。この肥田氏がかなりリーダーシップをとったおかげで、中山競馬場の現在地への移転、さらにその後の発展などへの道が開けたようなのである。



 肥田氏が常務理事として来る前の中山競馬場は関係者の内紛という実にくだらない理由で長らく競馬開催がまともにできず、農林水産省からは、ちゃんと競馬をやらないのであれば公認を取り消すぞと通告され、さらには土地の賃料も払わないということで地元地主もキレまくるという無茶苦茶な状態で「競馬界の癌」などと言われる状態だったらしい。これを肥田氏が多少強引な手腕でもってして何とか立て直したおかげで、中山競馬場は現在も中央競馬の主要場として存在していられるのだ。中山競馬場の功労者というと有馬記念の有馬頼寧氏のほうがどうしても名前が挙げられがちだが、肥田氏のほうが、全然功績はでかいのである。



 中山競馬場に特段の思い入れがない荷桁としては、肥田氏が頑張らなければ、とっくに中山競馬場なんてなくなっていて、もっと便利なあたりにきれいで大きな競馬場ができていたかもしれなかったのにな・・・などと思わないわけでもないが、まあ残っているものは仕方ない。戦前から続くカルチャーを今に伝えるという意味でも中山競馬場が年月を重ねるというのは意義深いことなのである。千葉の人々は中山の地に日本を代表する競馬場があるという事実をもう少ししっかりと受け止めて、感謝すべきなのだ。肥田さんのおかげなんだからな。でなければこんな辺鄙な・・・(以下自粛)。



 話を元に戻そう。



 まあ上記のように、いろいろあって1928年より当地で中山競馬は開催されてきたというわけだ。その後、1937年には日本競馬会(現在のJRA)へ統合され、日本競馬会の中山競馬場としてレースがなされることになった。つい10年ちょっと前まで競馬界の癌だったくせに、とうとう国の基幹の競馬場になっちまったのである。



 その後戦況悪化に伴い、軍用地として使われ競馬中止を余儀なくされたり、戦後1956年には中山グランプリ(現・有馬記念)を創設するなどいろいろとがんばって中山競馬場は現在もなお、中央競馬の主要場としての地位を確保しているのである。



 ものすごく端折りまくったが、だいたい中山競馬場のざっくりとした歴史はこんな感じだ。肥田金一郎氏の登場以降のサクセスっぷりがマジで半端ない感じだ。皆さんも競馬場訪問時には、銅像に御礼をするように。








 さて、中山競馬場の地理的な予備知識の話も少しだけしておこう。



 上に競馬場周辺の地図を出してみた。興味のある方は競馬場の周辺を拡大してあれやこれやご覧いただきたいのだが、競馬場の門のすぐ脇に墓地があったり、周囲には神社や農地が点在していたりと、なかなか複雑な立地の中にある競馬場と言えるのだ。



 このエリアは川もあり肥沃なエリアだったため、農業を中心として昔から人々が住んでいたとされており、1927年の移転時には農家や寺社など、すでにいろいろな地権者がこの周辺の土地を持っていたことが想像できる。



 アクセスが微妙に悪かったり、周辺道路が渋滞をしたり、場内が狭かったりといろいろ現在の中山競馬場が抱えるいろいろな問題については、このあたりの背景を知っておいていただけるとなんとなくイメージしやすいところだ。まあ、20世紀初頭の時点で、21世紀の周辺の交通渋滞や集客状況など想像だにできないだろうし、致し方ないことではあるのだが。



 「競馬界の癌」だった頃の悪評で、現在地の土地の買収もすごく大変だったことは想像に難くないし、「今昔マップ on the web」などで古地図を確認すると、現在の4コーナー(南門周辺)あたりは競馬場ができる前から古作の集落の中心地だったり、現在の北方十字路を通る、県道59号線(木下街道)や180号線は現在地に移転する前からあったりということが確認できる。現在は狭いと言われがちな中山も当時としては精一杯の土地をかき集めてやっとのこと作られた競馬場だったと想像できる。そしてその歴史的な経緯から拡張するのも非常に難しい立地なのだ。もともと起伏のある土地だったことを考えると、そもそも当地に競馬場を作ろうと思うと、今のサイズが限界なのかもしれない。



中山競馬場の直線走路



 いろいろと述べてきたが、何はともあれ紆余曲折があって、現在も中山競馬場ではつつがなくレースが開催されているという部分は何となくご理解いただけたであろうか。



 これから中山競馬場のことをつらつらと紹介してまいりますが、肥田金一郎さんの苦労や、この狭くアップダウンのある土地で何とかして競馬を盛り上げようと尽力してきた関係者、そして、この地に競馬場があることを許容し続けた地元住民たち(よく我慢できるよな実際)への感謝を忘れずにレポートをしていければと思いますので、何卒、よろしくお願いいたします。



 ってわなけでここからしばらく中山競馬場レポートです。



 



>>中山競馬場レポートその6へ






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