日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。
そこに競馬があるから > 園田競馬場 > 園田競馬場 その1 ~園田競馬は尼崎~
園田競馬場
どうも。荷桁です。
早いもので、もう年の瀬も近くなってまいりました。2015年の馬券模様、みなさんいかがでしょうか。
さて、今回からは園田競馬場のレポートをお届けしたいと思います。
園田競馬場は、大阪に引っ越した2009年の段階で訪問していたので、正直、書こうと思えばいつでも書けた場なのですが、例によって「近いしまたそのうち行くだろう」と思いつつ何となく引っ張っているうちに、ナイターなんかも始まってしまい、このタイミングで漸くのレポートになってしまいました。
と、言う訳で、微妙に古い写真も織り交ぜながらにはなりますが、園田競馬場をご紹介してまいりたいと思います...
地方競馬ファンの方でよもや園田競馬場を知らない方はいないと思うが、JRAのファンの方の中には聞いてもピンと来なかったり、名前は知ってるけど実際どんなところにあるのかは分からないという人もいるかもしれないので、とりあえずまずは地図を用意してみた。
地図の下の方に大阪市があるが、実際に園田競馬場があるのは、兵庫県の尼崎市というところになる。
地図上では尼崎市とは言いながらも大阪府の豊中市や、同じ兵庫県の伊丹市との境界付近に存在しているのであまり園田競馬場を尼崎だと意識している人と言うのは近隣の方を除けば少数派だろう。
厳密には兵庫県尼崎市田能二丁目1-1という住所にあり、園田という土地に存在しているわけではない。近くに園田という地区があり、そこを取られて名付けられたというパターンである。競馬場はけっこう自治体の名前がつくことが多いのだが、ここではよりローカルな地名が採用されているという珍しいケースである。正式名称だけで考えると、現存するところでは中山、大井、園田くらいだろうか。
ちなみに、尼崎出身の方はよく自嘲気味に尼崎のことを「アマ」と呼ぶ。荷桁の中での所謂「アマ」のイメージは阪神尼崎とか、杭瀬あたりのコテコテしたエリアなので、園田が「アマ」というのは何となく違和感がある。しかし、この間出会った尼崎市民は「阪急沿線だろうが、アマはアマ」と力強く言っていたので、そんなもんなのかな。
ちなみに、尼崎にはセンタープールの愛称で親しまれている尼崎競艇も存在しており、そちらのイメージも強い。競馬場と競艇場が一緒に存在している自治体というのも珍しいのではなかろうか。ぱっと思いつく限りでも他では東京特別区と府中市、北九州市くらいなもんだ。
こうした部分も含めて、関西では何だかんだ異彩を放っている街、尼崎市を覚えておくのもまた一興だろう。関西って田舎っていう意味でなく、出身地でいじられる(悪質な意味でなく)という不思議なカルチャーがあるんだよな。
いつの間にか園田の話じゃなくて、尼崎の話になってもうとるがな。
閑話休題。
さて、そんな尼崎の園田の地に競馬場ができたのは1930年のことである。
実は園田に競馬場ができるわずか1年前、1929年に淡路島の三原郡市村に淡路競馬場という競馬場が開設されたのだが、淡路島は離島だからいろいろ不便だよねという地理的問題から移転の話が起こり、移転先として園田が選ばれたという経緯をたどって園田に競馬がやってきたのである。うーむ、淡路島が離島だから移転しようとか、なぜ作ることを決める前に気が付かなかったんだろうか。
ちなみに、淡路島では第二次世界大戦後の1947年にも、以前に作った競馬場の跡地にまたもや淡路競馬場という場が開設され、競馬が再開されたのである。
しかしまたも前回同様に淡路島では集客・収益ともに限界があるという理由で、わずか2年後の1949年に廃止されることになってしまったのだ。おお、なぜ同じ過ちを繰り返すんだ淡路島。ちなみに、その後任地として姫路競馬場が開設されたというオチまでついている。
淡路島の人が果敢にも競馬場を2回も作ってすぐ挫折するという経緯があったからこそ、兵庫県で地方競馬の文化があるというのはなんだか不思議なことだ。調べればいろんな複雑な話が出てきそうな話だが、ひとまず、淡路島の民の競馬愛に感謝をしておこう。
話を戻そう。
1930年に園田に競馬場が出来てからは、特に移転などもなく当地で開催が続いている。
現在は兵庫県競馬組合という兵庫県、姫路市、尼崎市で構成されている一部事務組合によって開催が行われている。一応、この組織は開催場として園田競馬場と姫路競馬場の2か所を持っているのだが、現在開催は園田競馬場に集約されている。一応当ブログには姫路競馬場のレポートもあるが、かなり古い情報になるので、ご注意いただきたいところである。
したがって、騎手や調教師は園田所属とはされず「兵庫」所属と表記されるケースが多いということも覚えておくといいだろう。このブログでも意味合いによって使い分けたり、兵庫全体を指す場合でも便宜上園田で置き換えたりすることがあるので、ご注意ください。まああまり気にする部分ではございませんが・・・。
そんな園田競馬場は、周辺に大阪、尼崎、西宮など比較的人口の多いエリアを抱えており、開催当初から比較的売り上げのある競馬場であったと言われている。
しかし、その後の園田競馬場はなかなかどうして、けっこう波瀾万丈だ。
戦後になると復興名目で、近隣に競輪場や競艇場がわんさかできてしまうのである。当然のことながら客の奪い合いが起き、売り上げが低迷する。この間、繋駕速歩競走や障害競走も行われるなどいろいろな試行錯誤もあったようである。馬場でオートレースをやったという記録もあるようだがすぐに中止になってしまったようだ。
うまくいかなかったとは言え、このバイタリティーは見習うべき部分はあるかもな・・・。
ちなみに、この時期は、まだサラブレッドの生産頭数が少なかったこともあり、園田はアラブ馬での開催が基本となり、その後長きにわたり、アラブの競馬場として突き進んでいくことになる。
※繋駕速歩競走が分からんという方は
・ムーニーバレー競馬場レポート
を、
アラブ馬がよく分からんという方は
・福山競馬場レポート
を、読んでいただけると話が早いぞ。
さて、1960年代くらいからは、売り上げも安定してくるのだが、波瀾万丈な園田はその後もなかなか落ち着かない。
1966年から1968年にかけてには、禁止薬物を日常的に競走馬に注射していたとして、調教師28名をはじめ関係者75名が送検されるという大不祥事が起きる。開催は一時中止を余儀なくされるなど、打撃を受けた。
さらには1967年には騎手が覚せい剤で逮捕、1971年には暴力団絡みの八百長が発覚するなど、なかなかパンチの効いた不祥事が起こる。
その最たるものが1974年1月30日の「園田焼き討ち事件(園田騒擾事件)」だ。発走に不備があったレースの中断の処理を巡り、ファンが暴徒化して投票所を襲い売上金の一部を奪った上、放火するという大事件が発生したのである。もはやパンチが効いたを通り越して、物理的にパンチされた上、火までつけられてしまった形だ。この事件により兵庫県競馬は数ヶ月にわたって開催中止を余儀なくされることとなった。
事件の詳細はwikipediaに詳しいので興味がある方はご参照いただきたい。
とまあ、こんな具合でいろいろな不祥事があるわけだが(園田に限らずこの時代にはたまにあった話だが)、さすがの園田ということもあり、たくましく、競馬開催は続けられ、現在に至っている。書いていて、よくもまあ現在もやってるなあとその図太さにやや関心してしまったぞい。
1999年には再びサラブレッドのレースも行われるようになった。
兵庫の売り上げは地方競馬の中ではそこそこあったということもあり、馬のレベルこそ他の競馬場に比べたらやや高いが、交流重賞を賑わせるような馬はチャンストウライやオオエライジンなどはいるものの、そんなには出てきておらず、冷めたことを言うと中央で見限られた馬が地方に行く際の、選択肢の上位として存在しているような感はある。
今はどちらかというと、競馬ファンの中では騎手の方に注目が集まっているだろう。
中央で活躍している、岩田康誠騎手や小牧太騎手、引退してしまった赤木高太郎騎手などは、元兵庫所属だ。
少し前の話になるが、笠松の川原正一騎手、高知の中越豊光騎手(現在は引退)などの名手が兵庫に移籍したなどの話もあった。
比較的トリッキーなコースと所属する騎手の人数やレベルなどもあり、騎手にとっては鍛えられる環境なのかもしれないですな。
開催は基本的には平日の火、水、木曜の昼間というパターンが長く続いていたが、2012年からは金曜日に「そのだ金曜ナイター」なるナイター開催を春から秋にかけておこなうようになり、その際は水、木、金曜日の開催で行われている。要するに関西圏における、土日以外で競馬を楽しむならココという機能を担っているのが、園田競馬場なのである。
さて、とりとめもなく園田について語ってまいりましたが、ざくっと、大阪の近くの兵庫県尼崎市には園田競馬場という競馬場があって、いろいろあったが現在もそこそこのレベルで競馬開催が行われているよ。ということを知っていただければOKである。
ってなわけで、園田競馬場レポート、始めてまいりやす。
>>園田競馬場レポートその2へ
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