マルサ競馬場 その6 〜マルタ競馬史〜 そこに競馬があるから 忍者ブログ
日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。

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Marsa Race Track
マルサ競馬場の走路。


*マルサ競馬場レポートの続編です。
初めからお読みになる方はこちらからどうぞ。




  なかなかユルいながらもいい雰囲気で始まった、マルサ競馬場探検でございますが、今回もひきつづき、非常に地中海地方っぽいこの競馬場をいい具合にご紹介していけたらと思います...

とは言ってみたものの、今回はひとまず、マルサ競馬場とマルタ島の競馬に関する歴史のところから話をしていくことにしよう。ほどほどにアカデミックな内容も取り上げていかねばなるまい。


 マルタ島の近代競馬の歴史はこのマルサ競馬場から始まる。

 19世紀後半まで、マルタでは乗馬やハーネスは人々の間でポピュラーな娯楽であったとされる。もちろん競馬場やコースなどの施設はなく、趣味人たちが、思い思いの場所でスポーツとしてこれらを楽しんでいたというのが実際のところだった。

 そんな状況が一変するのは1868年のこと。当時マルタを支配していたイギリス人の影響からか軍人や現地の紳士階級などの間で「マルタにも競馬場を作ろう!」という話が持ち上がり、彼らを中心にマルタレーシングクラブが設立。さらにクラブにより競馬場建設のための資金が募られたのである。

  ところがどっこい、なかなか協力者は現れなかった。荷桁の想像だが、金持ちや軍人の道楽に金を出すほどの馬好きというのもなかなかいなかったのだろう。

 ところが彼らは資金集めに失敗したものの競馬場建設があきらめきれず、なんと自分たちで金を出して競馬場を建設に着手したのである。こうした一部の物好きによる競馬場建設話というのはこういうブログをやっているとよく目にするが、しかしまあ、どんだけ競馬好きやねん!と突っ込まざるをえない情熱である。感服だ。


 そこで、競馬場建設の地に選ばれたのがマルサだったのである。

Mdina, Malta

 なぜマルサが選ばれたのかは定かではないが、以前お見せしたようにマルタ島の地形はなだらかな丘が延々と続く土地ではあるが、その地質は岩っぽく、競馬場を作る際にも難儀したようである。イギリスをはじめ、世界の古くからある競馬場の多くは自然の地形をある程度利用したものが多いのだが、ここマルサでは丘を削り、水路に橋をかけ、湿地を埋め立て、ところどころ埋まっている岩を砕くというあり得ないくらいの難工事だったそうである。

 もう一度言いたい、マルタの競馬好き、どんだけ競馬好きやねん!!


 こうした難工事の末、マルサ競馬場での最初のレースは1869年4月12日に行われる運びとなったのである。

 この日から現在まで、大戦での中止なども挟んだことと思うが脈々とマルサの地では競馬が行われていることとなる。意外と歴史の古い競馬場なのだ。



大きな地図で見る


  こうして上空から見ると、わりと整った形に見える。

  コースは一周1000メートル。ハーネスレースを中心に、いわゆる普通の競馬(ギャロップ)も行われる兼用競馬場である。


  以上、マルサ競馬場のだいたいの歴史でしたが、お分かりいただけましたか?

  まあ、ざっくりわりと古い競馬場らしいということがお分かりいただければOKといえばここではOKなのだが。


Marsa Race Track


 講釈ばかり垂れていても仕方がないのでひとまず、メインスタンドの方へ向かう事にする。コース際にはえらくとってつけたようなスタンドらしきブロックが並んでいる。アジア人の荷桁が珍しいのか、目が合うとニコニコしてくれて、なんかいい気分だ。


Marsa Race Track


 裏手には、こんな像もあった。日本で言うところの馬頭観音なのか。佐賀競馬場の観音様を思い出させるかのような、マリア様の像である。南欧の生活感のあるキリスト教信仰が垣間みられてなかなか興味深い。

 奇麗な教会もいいが、こういう飾らない信仰もこれはこれでいいものだ。


Marsa Race Track


 そして、ようやくメインスタンドに到着。

 まだ1レースも始まる前だが、結構な人である。
 さて、ようやっと6回目にしてスタンドに到着とあいなりました。


 マルサ競馬場レポート、まだまだ長くなりそうです。
 




>>マルサ競馬場その7へ




*この競馬場が好きな方はこちらの競馬場もお好きだと思われます。

 セランゴール競馬場 その1~いざマレーシア競馬~
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 マルサ競馬場 その8 〜マルタ島競馬事情〜
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