日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。
そこに競馬があるから > ムーニーバレー競馬場 > ムーニーバレー競馬場 その5 ~ハーネス競馬~
ムーニーバレー競馬場1コーナー方面を望む。メルボルン市街地の高層ビル群が見えるロケーション。
*ムーニーバレー競馬場レポートの続編です。
初めからお読みになる方はこちらからどうぞ。
連日の更新となりますが、ムーニーバレー競馬場レポート5回目となります。
前回までは、オーストラリアの競馬のざっくりした話などしつつ、平場のナイターレースを観戦したときのことを書いてまいりました。今回は、その2日後に再びムーニーバレー競馬場を訪れた際のことを述べていくことにする...
さて、前回の終わりがけに、2度目の訪問のときに見た競馬というのがまた語るところが多い、というようなことを書いたわけだが、どういうことかと申しますと、今回の訪問のときにムーニーバレー競馬場で行われていた競馬はいわゆるフツーの競馬ではないのだ。
タイトルを見て、ピンと来た方も多いと思うが、今回取り上げるのは「ハーネス」という種類の競走である。
ハーネス競馬は日本語で言うと、「繋駕速歩(けいがそくほ)競走」となる。繋駕とは車を引くこと、速歩とはそのまま速歩きのことだと思っていただければいい。要するに、「馬が車を引きながら速歩きで競走するレース」ということだ。
地域によってはトロットレースとも言ったりするのだが、オーストラリアでは「ハーネス」と言っていたので、ここではハーネスで統一する。
ハーネスの基本の形
写真を見ていただくのが一番早いと思うので、まずはこれを見ていただきたい。このような骨組だけの車に騎手(「ドライバー」と呼ばれる)が座って、馬に引っ張られていく、これがハーネスの基本形だ。
この車を引きながら馬たちは速歩競走をする。あくまで「速歩き」であって走ってはならないのがミソ。
速歩きの種類によって、トロット(Trot、斜対歩)とペース(Pace、側対歩)の2種類に分けられるのだが、まあ、そこまで詳しく説明する必要もないだろう。
ここでは「オーストラリアには馬が車を引きながら速歩きで競走するレースがある」ということがざっくりわかっていただければOKだ。OKですね?
と、いうわけでさっさと説明を終えて、いよいよ2度目のムーニーバレーだ。
とりあえず、2度目の入場門。
前回にも増して、人の気配がすくないのが気になるが今回は天気もいいのでテンションも上がる。
入場料は前回と同じ10ドル。
場内に入ると、ほとんど馬券販売窓口がやっておらず、ブックメーカーもほとんどいない。レストランフロアなどもやってないないようだ。休日の夕方なんだからもう少し人がいてもよさそうなものだが・・・。どうやら普通の競馬に比べたら人気はないようだ。
スタンド周辺にもどうも人がおらず閑散とした雰囲気だ。本場開催でこんなに人が少ないのはなかなかのもんである。しかもここは大都会メルボルンだぜ。
とりあえず、電気のついているところにふらふらと行ってみると、ここだけは人がそこそこいて、馬券も売っていた。ブックメーカーは5人ほど、TABの窓口も5箇所ほどしかやっておらず、日本の地方競馬の冬場の第1レースかと思わせるほどの閑散とした感じである。
客層も好きで来ているおっさんを中心に仲間連れで来ている若者、ヒマだからお馬さんでも見に行こうか~ってな感じの家族連れもちらほらという地方競馬的な感じ。
前回が少なからずドレスアップした人もいたのに比べると、なんともおおらかな感じ。もちろんドレスコードもゆるい感じだった。荷桁は2度目だったのでGパンで行ったがフツーに入れたぞ。
それにしても、こんなに少ない観客でやっていけるのか?もしかしてせっかく来たのに場外発売の日?と思いつつも、走路を眺めていると、なにやら車を引いた馬たちが出てきてウォーミングアップを始めた。どうやらちゃんと競馬は行われるようだ。
さて、街中で買った予想紙を見つつ予想をするが・・・どうやって予想をしたらよいものかさっぱり分からない。まあ、そりゃそうだという感じで、こちらは生まれてから一度もハーネスのレースなんか買ったこともないのだから仕方ない。とりあえず戦績とオッズくらいしか手がかりがないのでそのあたりで適当にあたりをつける。
と、そのとき、何やら冴えない若者が荷桁のもとに来て「新聞見せてくれ」と言ってきた。「何だこいつ新聞くらい自分で買えよ・・・」と思いつつも、こっちもこっちで新聞見ててもほとんど予想できないので、とりあえず見せてやることにした。
新聞を手に取った若者は何やら予想をして、荷桁にサンキューと言って新聞を返してくれた。
彼はその後TABの窓口で11番から3連複を買っていたようだったので、荷桁はその予想を盗んで、11番の単複で勝負することにした。単勝8倍くらいの3番人気で一番おもしろいあたりだと言える。
荷桁が馬券を買ってすぐ、レーススタート。
レースは2000メートルほどの長距離。内馬場のダートコースを使って行われる。
生で見るとけっこうな迫力。台数が多いため進路取りが難しそうで、特に勝敗に関係なさそうなところでも場所取りのために後ろからかぶせるように捲くる捲くる。周回も多いため駆け引きが主体のレース運びでなかなか見ごたえがある。
そして最後の直線で外から11番が一気に追い込んで来る。
「おお!盗んだ予想でいきなりクリーンヒットか!?」と色めきたつが、残念。わずかに2着でトリガミの複勝しか当たらず。
例の冴えない若者は穴を拾ったらしく、結構な配当の3連複を取って喜んでいた。すると若者は「お前のおかげで取れた」と言いながら握手を求めてきた。それは俺のセリフだな・・・と思いつつ、俺も取ったと言いながら11番の複勝を見せると、彼はにこっと笑って去っていった。あれ、次のレースの新聞はもういいのだろうか?
まあ、よくわからないが、こんな国際交流も海外競馬の楽しみのひとつだ。それにしてもありがとう冴えない若者。
次回、ハーネス競馬をもう少しだけ・・・。
>>次の記事へ
*この競馬場が好きな方はこちらの競馬場もお好きだと思われます。
セランゴール競馬場 その1~いざマレーシア競馬~
ソウル競馬場 その1 〜韓国競馬に手を出すぞ〜
ペナン競馬場 その1 ~再びマレーシア競馬へ~
クランジ競馬場 その1 ~いきなりお詫び~
マルサ競馬場 その1 〜いざ地中海競馬へ〜
ガルフストリームパーク競馬場 その1 〜アメリカ競馬事始〜
*オーストラリアの競馬場に関する記事は以下にもあります。
フレミントン競馬場 その1 ~メルボルンカップ事始~
フレミントン競馬場 その2 ~メルボルンカップ・デー~
フレミントン競馬場 その3 ~競馬はパーティ~
フレミントン競馬場 その4 ~レーシング!~
フレミントン競馬場 その5 ~ドレスコード~
フレミントン競馬場 その6 ~いざメルボルンカップ~
フレミントン競馬場 その7 ~宴のあと~
ムーニーバレー競馬場 その1 ~オーストラリア競馬~
ムーニーバレー競馬場 その2 ~市電に乗って~
ムーニーバレー競馬場 その3 ~ブックメーカーとの出会い~
ムーニーバレー競馬場 その4 ~プライス~
ムーニーバレー競馬場 その5 ~ハーネス競馬~
ムーニーバレー競馬場 その6 ~場所取りと駆け引き~
カイントン競馬場 その1 ~もうひとつのカップ・デー~
カイントン競馬場 その2 ~カイントンカップ2008~
カイントン競馬場 その3 ~新緑のパドック~
カイントン競馬場 その4 ~芝生があるから~
カイントン競馬場 その5 ~クール・ジャパニーズ~
カイントン競馬場 その6 ~旅の終わり~
オーストラリア競馬 おまけ編 ~TABについて~
タイトルを見て、ピンと来た方も多いと思うが、今回取り上げるのは「ハーネス」という種類の競走である。
ハーネス競馬は日本語で言うと、「繋駕速歩(けいがそくほ)競走」となる。繋駕とは車を引くこと、速歩とはそのまま速歩きのことだと思っていただければいい。要するに、「馬が車を引きながら速歩きで競走するレース」ということだ。
地域によってはトロットレースとも言ったりするのだが、オーストラリアでは「ハーネス」と言っていたので、ここではハーネスで統一する。
ハーネスの基本の形
写真を見ていただくのが一番早いと思うので、まずはこれを見ていただきたい。このような骨組だけの車に騎手(「ドライバー」と呼ばれる)が座って、馬に引っ張られていく、これがハーネスの基本形だ。
この車を引きながら馬たちは速歩競走をする。あくまで「速歩き」であって走ってはならないのがミソ。
速歩きの種類によって、トロット(Trot、斜対歩)とペース(Pace、側対歩)の2種類に分けられるのだが、まあ、そこまで詳しく説明する必要もないだろう。
ここでは「オーストラリアには馬が車を引きながら速歩きで競走するレースがある」ということがざっくりわかっていただければOKだ。OKですね?
と、いうわけでさっさと説明を終えて、いよいよ2度目のムーニーバレーだ。
とりあえず、2度目の入場門。
前回にも増して、人の気配がすくないのが気になるが今回は天気もいいのでテンションも上がる。
入場料は前回と同じ10ドル。
場内に入ると、ほとんど馬券販売窓口がやっておらず、ブックメーカーもほとんどいない。レストランフロアなどもやってないないようだ。休日の夕方なんだからもう少し人がいてもよさそうなものだが・・・。どうやら普通の競馬に比べたら人気はないようだ。
スタンド周辺にもどうも人がおらず閑散とした雰囲気だ。本場開催でこんなに人が少ないのはなかなかのもんである。しかもここは大都会メルボルンだぜ。
とりあえず、電気のついているところにふらふらと行ってみると、ここだけは人がそこそこいて、馬券も売っていた。ブックメーカーは5人ほど、TABの窓口も5箇所ほどしかやっておらず、日本の地方競馬の冬場の第1レースかと思わせるほどの閑散とした感じである。
客層も好きで来ているおっさんを中心に仲間連れで来ている若者、ヒマだからお馬さんでも見に行こうか~ってな感じの家族連れもちらほらという地方競馬的な感じ。
前回が少なからずドレスアップした人もいたのに比べると、なんともおおらかな感じ。もちろんドレスコードもゆるい感じだった。荷桁は2度目だったのでGパンで行ったがフツーに入れたぞ。
それにしても、こんなに少ない観客でやっていけるのか?もしかしてせっかく来たのに場外発売の日?と思いつつも、走路を眺めていると、なにやら車を引いた馬たちが出てきてウォーミングアップを始めた。どうやらちゃんと競馬は行われるようだ。
さて、街中で買った予想紙を見つつ予想をするが・・・どうやって予想をしたらよいものかさっぱり分からない。まあ、そりゃそうだという感じで、こちらは生まれてから一度もハーネスのレースなんか買ったこともないのだから仕方ない。とりあえず戦績とオッズくらいしか手がかりがないのでそのあたりで適当にあたりをつける。
と、そのとき、何やら冴えない若者が荷桁のもとに来て「新聞見せてくれ」と言ってきた。「何だこいつ新聞くらい自分で買えよ・・・」と思いつつも、こっちもこっちで新聞見ててもほとんど予想できないので、とりあえず見せてやることにした。
新聞を手に取った若者は何やら予想をして、荷桁にサンキューと言って新聞を返してくれた。
彼はその後TABの窓口で11番から3連複を買っていたようだったので、荷桁はその予想を盗んで、11番の単複で勝負することにした。単勝8倍くらいの3番人気で一番おもしろいあたりだと言える。
荷桁が馬券を買ってすぐ、レーススタート。
レースは2000メートルほどの長距離。内馬場のダートコースを使って行われる。
生で見るとけっこうな迫力。台数が多いため進路取りが難しそうで、特に勝敗に関係なさそうなところでも場所取りのために後ろからかぶせるように捲くる捲くる。周回も多いため駆け引きが主体のレース運びでなかなか見ごたえがある。
そして最後の直線で外から11番が一気に追い込んで来る。
「おお!盗んだ予想でいきなりクリーンヒットか!?」と色めきたつが、残念。わずかに2着でトリガミの複勝しか当たらず。
例の冴えない若者は穴を拾ったらしく、結構な配当の3連複を取って喜んでいた。すると若者は「お前のおかげで取れた」と言いながら握手を求めてきた。それは俺のセリフだな・・・と思いつつ、俺も取ったと言いながら11番の複勝を見せると、彼はにこっと笑って去っていった。あれ、次のレースの新聞はもういいのだろうか?
まあ、よくわからないが、こんな国際交流も海外競馬の楽しみのひとつだ。それにしてもありがとう冴えない若者。
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フレミントン競馬場 その5 ~ドレスコード~
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オーストラリア競馬 おまけ編 ~TABについて~
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紹介している競馬場の情報は訪問当時のものですので、競馬場に行かれる際は最新の情報をご確認のうえ、自己責任で行っていただきますようお願いいたします。
またこのサイトの写真や文章は基本的に無断で使用されると困るのですが、もしどうしてもという方は荷桁までご連絡ください。そのほかご指摘やご質問がある方も荷桁まで直接ご連絡ください。コメント欄は管理が面倒そうなので当分オープンにはしないつもりです。悪しからず。
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