日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。
そこに競馬があるから > 高知競馬場 > 高知競馬場 その33 ~やっぱり高知は、器の大きい競馬場だった~
高知競馬場
*高知競馬場レポートの続編です。
初めからお読みになる方は高知競馬場レポートその1からどうぞ。
どうも荷桁です。さて。なんやかんや通算33本目の高知競馬場レポートとなってしまいましたが、ここいらで中締めといたしましょう。
高知競馬場を紹介するという意味では、もうだいたい書くことは書いてしまったので、とりあえずこのレポートでは、2008年の夏に初めて高知競馬場を訪れて、2019年の2月の訪問を最後にこのレポートを書いている、現時点での高知競馬場への私的な想いをゆるゆると綴っていければと思います。
特に中身のないレポートになろうかとは思いますので、興味がない方は読み飛ばしていただけますと幸いです。え?なんですか?「いつものレポートも特に中身はないじゃないか」ですって?そういう本当のことは言わないお約束でしょうが...
まあしかしだ。今でこそ、こうしてつらつらとレポートなんか書いているが、実際問題、久々に高知競馬場に行ってみるまで、高知競馬場がどうなっているのかという部分にはけっこうな不安があったのも事実だ。
なんども同じ話をして申し訳ないが、荷桁が初めて高知競馬場を訪問したのは2008年の夏。まだ東京に住んでいた学生時代のことであった。その後、大学を出て大阪に転居し、2009年の冬に二度目、三度目の訪問をした(2日連続で行った)。その3度の訪問での記録をもとに、このブログに計7本のレポートを書き、その後しばらくは他の競馬場をまわるのに明け暮れ、次に訪問したのは9年間が開いて2018年の冬のことであった。
皆さんご存知のとおり、この2009年から2018年の間の高知競馬はすさまじいな変化を経験していた。ネット投票が普及し、通年ナイター開催に振り切った高知は売上げが爆上がり。レースの賞金も上がり、廃止議論があったことさえ信じられない状態にまでなってしまったのである。
ただ、売り上げが上がるのはよいことではあるのだが、ほとんどの開催がナイター開催に振られてしまうということは、つまり、本場への来場客が減ってしまうということでもあり、競馬場文化を愛好する者としてはどうしても不安になってしまう部分があったのだ。
結果的に、久々に行った高知競馬場は、いくつかの食堂がなくなってはいたものの、おおよそ、2009年の状態から変わっていなかった。スタンドの設備的なところでは売り上げアップのおかげもあってか、ちょいちょい改善されている部分もあり、むしろよくなっていたくらいだった。
そこまで大きく変わらなくてすんだのは2013年に始まった中央競馬の馬券発売の影響が大きいだろう。荷桁もJRAのG1発売日に高知競馬場に行ったのだが(どうせ旅打ちするならG1を見に行けよという一周遅れのツッコミはご勘弁くだされ)、競馬場に人を動員すると言う意味ではかなりの貢献を果たしているように見受けられた。金沢や名古屋、笠松、川崎、浦和など土日にJRAの馬券を売っている競馬場を見てみても、食堂や指定席での売り上げが上がるという意味ではけっこうなインパクトがある印象だし、JRAのネット投票システムで馬券を売ってもらうお返しに地方競馬場の本場で中央の馬券を売るというのは連携と言う意味では理に適っている感じはある。
食堂棟に唯一残ったまるまんでは、常連さんがモニターを見ながら中央競馬の場外発売に興じている。モニターから流れてくるのが高知競馬本場レースだけだったら、この光景は継続できていなかったことだろう。勿論高知競馬の本場だけであの賑やかな食堂街の光景が復活してくれたら言うことないのだが。本場の賑わいを取り戻すべく、まずは土日の集客に、競馬場としてもこだわっていただきたいところである。
食堂や施設だけでなく、変わっていなくてうれしかったのは高知競馬の人の温かさだ。以前のレポートでも述べたが、高知競馬のパドックで馬を眺めているファンの皆さんは基本的に穏やかだ。南関東のように目を血走らせている人というのはほとんどいない。格好だけみたらやんちゃそうな人もおらんこともないが、そもそもこんな人里離れた辺鄙な競馬場まで車を転がしてやってきて、中央のレースが終わってからも残ってパドックで馬を眺めているということだけでも、いい感じの競馬ファンということが分かるではないか。
パドックで声を出すのがいいのか悪いのかという問題はあるが以前どおりファンから騎手への声援もちょいちょい見受けられた。相変わらず非常にいい雰囲気のパドックなのだ。
そして、そのいい雰囲気はファンだけでなく騎手たちからも醸し出されている。この特徴も以前訪問した時から変わっていなくて、安心したことの一つだ。
騎手名鑑の時も申し上げたが、高知競馬の騎手の皆さんは変にピリついた雰囲気がなく、パドックでの表情などを見ていても非常にいい感じである。競馬場全体できちんと若い騎手の面倒をみていこうという気概があってこそのこの雰囲気なんだろうことで、こういうところを取ってみても高知競馬場というのは日本の競馬界になくてはならん存在なんだろうなあと思ったりもする。
勿論、レースになればこの真剣勝負だ。こういうメリハリがキチンとある競馬場というのはレースを見ていても気持ちいいことが多いと思う次第である。
そんな高知競馬を去る若手騎手もいるが、こちらの松木騎手は高知での経験を糧に兵庫移籍後も着実に結果を出している。松木騎手の移籍時には騎手仲間が盛大な送別会で送り出したそうだ。会社でもなんでも、新人をきちんと育てられる職場はいい職場なのだ。
また、荷桁が訪問した際にたまたま松木啓介調教師の通算3000勝セレモニーに居合わせたのだが、この時もお孫さんをはじめ、ご家族に祝われていて、非常にいい感じであった。会社でもなんでも、長く働けて、家族に誇れる職場はいい職場なのだ。
そして高知競馬場の近年の取り組みでよかったのは、こちらの「福山けいばメモリアル競走」ではないだろうか。
高知競馬は福山競馬と交流競走をおこなっていた過去があり、元福山所属の騎手や調教師もちらほらいる。それならばと、その福山競馬に廃止時まで所属していた現役騎手を全国から招待し「福山けいばメモリアル競走」が開催されたのだ。福山競馬で実際に使われていたファンファーレまで再現するという徹底ぶりでネット上の福山競馬ファンを歓喜させてくれた企画である。
競馬事業を投げ出してしまった福山と、踏ん張ってV字回復を果たした高知。いろいろ複雑な気分にもなるが、こうして福山競馬の記憶をしっかりと繋いでいこうというこの試みは、非常に粋な計らいだし、高知競馬にしかできないことだとも思う。これを中央競馬がやるのもなんだか白々しいし、やっぱり高知じゃないとダメなのだ。
とりとめのないことをダラダラと書いてしまったが、要するに何が言いたかったかというと、久しぶりに行った高知競馬場はやっぱり「器の大きい競馬場」だったということ。08年訪問時のレポートにもそう書いたが、やっぱりそこの部分は変わっていなかった。何よりそのことに一番安心した次第だ。
八百長だの薬物だのしょうもない不祥事を起こすことなく、いつまでものんびりと競馬を続けていってほしいものである。
・・・さて。そんな訳で、いったん一連の高知競馬場レポートはこちらで一旦中締めとさせていただきます。まだ高知競馬場に行ったことがないという方は是非一度足を運んでみてくだされ。俺も何だか行きたくなってきちゃったなあ・・・。
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