日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。
そこに競馬があるから > 名古屋競馬場 > 名古屋競馬場 その51 ~名古屋競馬場グルメをしのぶ 松井屋(大矢屋)~
旧名古屋競馬場の松井屋
*名古屋競馬場レポートのつづきです。
初めからお読みになる方は名古屋競馬場レポートその1からどうぞ。
どうも。荷桁です。さて。旧名古屋競馬場・通称どんこ競馬場のレポートのつづきをやっていきましょう。今回はどんこ競馬場グルメの最後のレポートとなります。いきなりこの記事に飛んできて、どんこ競馬場グルメの全体像が理解できていない場合はこちらの記事に先に目を通しておいていただけると話が早いので、よろしくお願いいたします。
さて。どんこ競馬場グルメレポートのラストを飾るのは松井屋さんだ。松井屋さんはこれまで見てきた食堂棟の最も西側、どんこ競馬場の最果てのようなところにあるお店であった。こちらの方はパドックもないのであまり人通りもない立地であったが、この松井屋さんもまた味があって、固定ファンが多い印象であった。何を隠そう荷桁自身も「どんこ競馬場でおススメの食堂は?」と訊かれたら「そうねえ・・・」と少し考えたのち「一番奥にある松井屋さんが好きかな」と答えていたものである。名古屋にいる親類や友人とどんこに行く際も、この松井屋さんだけは外さずに行っていた思い出の店でもある。
そんな個人的な想いもありつつ、ひとまず、松井屋さんがどんなお店だったかをゆるゆると振り返っていければと思いますので、よろしくお付き合いの程、お願いいたします...
さて。そんな訳で、松井屋である。
先述の通り、食堂棟の一番西奥にあるお店だというのが何となく見て取れると思う。間口も狭く、こじんまりしたお店であった。
ただ、この松井屋、けっこうファンが多く、なんやかんや店の周りは昼時はけっこうにぎわっていた印象である。
店内はこんな感じ。冷暖房もなく、夏場冬場は過酷であったが、まあ、どんこの気候を感じられるお店という意味ではそれもまたよしという感じであった。
壁には武骨なメニューが並んでいる。これまで見てきた食堂の中でもかなりハードボイルドな感じである。
入り口の上も看板は裏表で利用されているようで、廃盤になったメニューと思われる表示がちらほらみえる。「飲料水」って、水を冷やしたものとかを提供していたのかしら?ああ、でも冷やし中華とかざるそばとか季節メニューっぽい感じのものも混じっていたりするので、季節によって裏返して復活させていたのかもしれないな。
そして、皆さんもお気づきかもしれないが、真ん中の当りにメニューっぽくない看板が混じっているのがお分かりいただけるだろうか。
よく見ると「大矢屋」と書いてある。
実は、この松井屋さん、店主が松井さんなので松井屋というのだが、その前までは「大矢屋」という屋号でやっていたお店なのだ。屋号が変わった理由は、前の店主の大矢さんがお亡くなりになったから。
以前のこのブログのレポートでこのお店を大矢屋と紹介していたのは、間違いなどではなく、そういった事情があったのである。
さて。では松井屋の店内の様子を今一度見ていこう。
先ほどさらっとお見せした通り、松井屋は間口が狭いお店で、厨房部分と席の部分もあまりパキっと区別されていない作りのため、お店の空間のうちだいたい半分が調理スペース、半分が客のスペースという感じであった。
店の前で串カツやらを売っているので、調理スペースのうち揚げ鍋や味噌鍋は表近くに。通常の厨房は奥の方にという配置になっていた。
壁際のカウンター席はこんな感じで狭めなので、あまり汲々とせずだいたい3~4人くらいをマックスにやや幅を取って利用されていることが多かった。
調理場の方にも一応カウンターがあって、こちらにも詰めれば3人ほど座ることができた。この写真では従業員のおばちゃんがまかないを食べているが、通常はお客さんが1人、2人座っていることが多かった。
一応、松井屋にはお店のどの角度からでも見える位置にテレビがあり、レースや払い戻しなどを見ることができた。中央競馬の発売時には中央のレース中継なんかもやっていたのだろう。
松井屋でもそんなわけで、他のお店と同じように、メシを食ったり酒を飲んだりしながら競馬に興じる常連さんたちがちらほら見受けられた。「あんた、そんな、じーっと払い戻し見とるけど、当たったの?」と店員さんがきき「こんな荒れとるレース、当たっとるわけないがや」と常連さんが答えるのを見ながらぐびりと飲む焼酎が、この店の醍醐味と言えた。
ほか、松井屋の壁には懐かしい感じのカレンダーや鏡があったり、何故か備え付けの水道を囲うようにカウンターが設置されていたりと、今の時代からするとなかなか昭和な光景が広がっていたが、まあ、このあたりもどんこらしくて良かったですな。
さて。では店内をざざっと見たところで、松井屋のメニューを見ていくことにしよう。
松井屋さんのメニューはこんな感じで壁にずらっと張られている。
おかず、豚汁、めし、という公営レース場食堂の基本に、カレー、ラーメン、どてめし、串カツ丼とド定番メニューから名古屋的なメニューまで一通り揃っている。ラインナップとしては、これまで見てきた食堂と、そう大きくは変わらない感じだと言える。
さらに、うどん・そば系メニューも。
夏季には、冷やし麺系のメニューも加わる。「ざるきし」というのは名古屋の人以外はピンとこないかもしれないが、ざるきしめんのことである。ほか、丼+豚汁、ラーメン+めし、などいい感じのガテンメニューもあるのがいい感じだ。
特にイチオシのものはパウチで別途掲出されていた。きしめん、どてめしと、まあ名古屋人がいかにも好みそうなものと、おつまみっぽいメニューが並んでいる感じですな。
さらに、ビール瓶、生ビール。
さらには焼酎の水割り・湯割り、ワンカップ、レモンサワーなど、武骨めのアルコールメニューが並んでいる。
壁にあるメニューの他、松井屋さんはショーケースの中におかずを複数用意している。これでメシを食ったり、酒を飲んだりできるので、いわゆる食堂的な楽しみ方をしたい場合はこのショーケースの中身も忘れずチェックである。
ショーケースの中には「魚」とあって、カサゴやらメバルやら書いてあるが、これはお店の方が朝に海で釣ってきた魚が並ぶという、なんとも牧歌的なメニュー。日によってはなかったりするので、見つけたときが狙い目という希少なメニューであった。
さて。そんなわけで、ここからは実食である。まずはショーケースからおかずをば。こちらはすきやき風に甘辛く味付けした肉と野菜。そうそう。こういうのこういうの。
メシを食ってもいいのだが、ひとまず焼酎の水割りでキューっといただく。甘めの味付けのつまみは焼酎に合うのだよ。
次のは・・・次のはなんなんだろう。関東炊き風の大根に菜っ葉とかまぼこの切れっ端が入った煮物。これも味付けがわりとしっかりしているのでメシにも酒にも合う逸品だ。
これは冬場にいただいたので、焼酎のお湯割りでいただいた。こりゃたまらん。
さらに、冬場にはおでんに味噌ぶっかけて、ワンカップという、いかにも名古屋っぽい飲み方も良かった。ここのおでんにもしっかり赤棒が入っておりますな。
変わって夏場はビールも良いが、レモンサワーあたりのちょっと安っぽいお酒が、このお店の雰囲気に合っていて良かった。
このレモンサワーに合わせるのがいいのが、味噌串カツ。松井屋さんの味噌は濃い目でどろっとしているので、酒のつまみにバッチリなのだ。
さらにどて串もつければ、わずか200円で、最強のつまみに。サワーと合わせてしめて600円。市中の居酒屋からしたらフツーの値段かもしれんがいやいや公営レース場の食堂で考えればなかなか優秀なお値段である。
さらに、この串カツをどーんとめしに乗せた串カツ丼もまた絶品であった。その横には最強のパートナーである赤出汁の豚汁も鎮座しているぞ。
他県の人からみたら「うわあ・・・」となってしまう感じの見た目であるが、悪りいけど、これがうまいんだわ。
さらに、その濃い味噌カツ丼のお供には、これまたガツンとパンチが効いている赤味噌の豚汁である。名古屋では当然、豚汁も赤味噌だで、なめとってかんよ。
あと、松井屋さんのメシものではカレーライスも食べた。まあ、見た感じのレトルティな一品だが、なぜか福神漬けではなく紅ショウガが添えられるのが印象的であった。
さらに松井屋さんにはきしめんもあった。かまぼこではなく、ゆでたまごというのが、またおでんやら、ラーメンやらの兼用でいい感じである。
ちなみに、天ぷらきしめんというのもあった。ちょっと天ぷらこげてるのもご愛敬。こういうのがまた、妙にうまいのである。
だが、何と言ってもこの松井屋さんで美味かったのはこちらのラーメンである。
まあ見ての通り、濃い感じのつゆでTHE中華そばといった風情なのだが、これが妙にウマい。チャーシュー麺ではなくラーメンを頼んでいるのに、わりとちゃんとしたチャーシューが2枚ものってくるのもポイントが高い。このラーメンは常連さんの注文率も高く、常連たちしか知らない、どんこ競馬場の隠れ名物であったと個人的には思っている。
あと、松井屋さんの隠れた名物と言えばこちらのみたらし団子。これは以前にも紹介したが、典型的な名古屋スタイルのみたらし団子で、他の地方の方からすると「え?なんか知ってるみたらしと違うぞ?」となるかもしれないが、東海エリアの人間的にとってはみたらし団子は昔っからコレ以外に考えられないのである。こがした小ぶりな団子に、ちょっと辛めのタレが染みとって、まあこれがうまいんだわ。
これも、一人で行った時、親類の子どもを連れて行った時、名古屋初心者を連れて行った時には必ず松井屋さんに食べに行くメニューであった。いやあ、こういう痒い所に手が届くのが松井屋さんだったなとしみじみ思える一品である。大矢屋さんから松井屋さんまで、大変お世話になりました。
さあ、そんなわけで、どんこ競馬場のグルメをどどんと11回にわたりお届けいたしましたが、いかがでしたでしょうか?
まあ本当にどの店も、飾り気のない名古屋めしを体現していてよかったなあと、こうして振り返っていてもしみじみ思います。いくら嘆いてもこれらのお店も、あのどんこの空気感も、もう帰ってはこないわけですが、たとえ懐古厨と呼ばれようが、また何度となく自分の書いたレポートたちを読み返しては、暑く、寒いどんこの食堂で飲んでいる気分に浸ろうと思います。皆さんの中にも、同じような嗜好の方がいらっしゃいましたら、是非このブログの記事たちをたまに読み返してやってください。
っつーわけでグルメも終わったので、もう書くこともあまり残っていないのですが、もうあと何本かどんこ競馬場レポート、続けさせてくださいませ。
>>名古屋競馬場レポートその52へ
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