そこに競馬があるから

日本国内、海外の競馬場の訪問記です。こんなことしてていいのかなあ。でもやめられない。

高知競馬場　その１８　～高知競馬場の予想紙　中島高級競馬號・福ちゃん・競馬研究～

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高知競馬場の競馬新聞売り場

＊高知競馬場レポートの続編です。
初めからお読みになる方は高知競馬場レポートその１からどうぞ。

　さて。今回も高知競馬場レポートの続きでございます。

　前回のレポートで高知競馬場のコースの話をしまして、何となく高知競馬場の特徴やレースの雰囲気をつかんでいただいたかと思いますので、その流れでいざ高知競馬の馬券を買おうとなったときに馬券予想の一助となる予想紙（いわゆる競馬新聞）について書いてまいりたいと思います。

　高知競馬場の馬柱はスポーツ新聞などいろんな媒体に出ている訳でございますが、今回はいわゆる高知競馬の専門紙と呼ばれる「中島高級競馬號」「福ちゃん」「競馬研究」の三紙をご紹介してまいります。高知競馬場の予想紙は地方競馬場の中でもけっこう個性があるため、荷桁も行くたびにいろいろと買いこんでしまうのが常でございます。勿論馬券を当てるのも大事ではあるのですが、予想紙ごとの特徴や個性を愛でつつ予想するというのもまた地方競馬の醍醐味と言えます。

　今回のレポートでは三紙それぞれの特徴やデザインなんかも押さえつつ、高知競馬場の予想紙をご紹介していければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします...

　さて。そんな訳で、高知競馬場の予想紙である。

　高知競馬場の予想紙は市中のコンビニなどでも売っているが高知競馬場の入場口を入ってすぐのところに直売所があるので、特に事前にガッツリ予想していきたいなどの事情がなければ基本的には競馬場についてから購入すればOKだ。

　予想紙は各紙一部550円だ。

　結構高い価格設定ではあるが、まあ当てられると考えれば安いものという考え方もあるので、各々の判断で買っていただければOKだ。

　ちなみに荷桁の訪問時は競馬場内で予想紙を買うと、こんな感じの場内で使える200円分の飲食券をもらえたぞ。550－200円ということは実質350円で買えたということになる。まあ勿論200円分の飲食を場内でする前提になっていなければ成立しない概念ということは百も承知だが、荷桁みたいな競馬場で飲み食いするタイプは単純にこういうのはうれしいのでありがたい限りだ。

　地方競馬だと予想紙の数が少なく、印もほとんど差がなかったりするのがよくあるパターンなのだが、高知の場合は予想紙の中でもけっこう印が割れていて、予想紙同士でもわりとばらつきがあったりするので面白い。もっとも近年の高知競馬場は頭数も増えてわりと魅力的な番組を組んでいるので、それで印がばらけるというのもあるのかもしれないが。

　まあ、とりあえず、園田のキンキや名古屋のエースみたいに、印とオッズが激しく連動している訳ではないんだよという部分だけ押さえていただければOKでございます。もっとも最近はネット投票だからそのあたりはあまり気にせんでもええのかもしれんが。

　ちなみに、無理やり予想紙を買わなくとも、当然のことながら競馬場にはこんな感じで無料の出馬表も置いてあるのでこれを活用するのもOKだ。今は馬柱くらいならスマホでも見られるので、それと組み合わせてご活用くだされ。

　さて。それではそれぞれの予想紙を詳しく見ていくことにしよう。まずは高知競馬場の予想紙で一番の老舗である「中島高級競馬號」からだ。

　何やらいきなりパンチの効いた名前の競馬新聞が出てきてびっくりしている方もいるかもしれないが、この中島高級競馬號、実はけっこうな歴史を持った競馬新聞なのである。

　中島高級競馬號の歴史は大正8年にまでさかのぼる。競馬好きだった初代社長の中島定吉氏が兵庫の鳴尾競馬場で競馬予想紙「中島高級競馬」を発行したというのが中島高級競馬號の始まりと言われている。高知ではなく、鳴尾がその発祥地というのもびっくりだが、大正8年というのもこれまたすごい話である。今ではおなじみの◎〇▲などの印を考案したのも中島高級競馬號という話もあり、その歴史に興味はつきないぞ。

　以後、中島定吉は関西圏を中心にいわゆる公認競馬で昭和16年まで競馬新聞を発行し続けたが、戦局悪化にともない競馬が休止となってしまったのである。定吉は妻の故郷高知へ疎開。戦争終結後も定吉は高知に留まり、昭和23年高知競馬再開と共に再び競馬新聞の発行業を興して現在に至っているのだ。

　とりあえず、中島高級競馬號が標榜する「日本最古の競馬予想紙」というキャッチフレーズは眉唾なんかではなく、ちゃんと根拠あってのことなのだ。

　取材当時、中島高級競馬號はホチキス止めの横開きタイプの冊子タイプで表紙はカラー、中身は白黒という中央競馬や南関東でよくある新聞タイプの予想紙とは少し違う感じの体裁を取っていた。

　ちなみに、数年前までは縦にめくるタイプの体裁だったのだが、いつの間にやら変わっていた。やや唐突感のある「土佐龍馬」の文字と龍馬像の写真が、いい感じのハッタリとして効いているぜ。

　ちなみに、レディースジョッキーズシリーズなどイベントデーにはこんな感じでデザインに凝ったバージョンも発行されていた。中央競馬の競馬新聞などではなかなかでいないこのデザイン性の高さも中島高級競馬號の魅力だ。

　中島高級競馬號はどういう流れかよく分からないが、高知競馬場場内のベンチに大量の広告を出していたりもする。下の写真にある中島グラフィックアートというのは関連会社だろうか。ちなみに、中島高級競馬號の発行元は中島出版印刷という会社で、本業は印刷業のようである。先ほどのようなデザイナボーな表紙も、そのあたりのスキルが関係しているのかもしれませんな。

　さて。歴史や見た目の話ばかりしておらず、中身の話をしていこう。

　中島高級競馬號の馬柱はこんな感じ。見開きで横に見ていくという、中央競馬の競馬新聞とは全然違う、ぜいたくなスペースの使い方だ。

　凡例は馬柱の上のところに書いてあるので、基本的な競馬用語が分かればそんなに苦労することなく読みこなすことができるだろう。

　また、中島高級競馬號は騎手や調教師のデータも豊富だ。騎手については星座や血液型などの表記もあり、ちょっとしたオカルト（失礼）馬券にも対応可能な仕様になっているぞ。

　さらに、本命時の信頼度を補強するデータとして、中島高級競馬號の30年分のデータを駆使した◎の時と一番人気時の勝率・連対率のデータまでついている。30年とすることで見出せるものもあれば見逃してしまう部分もありそうな気がするが、まあ信頼と実績のデータということで困ったときにはご活用くだされ。

　ちなみに、中島高級競馬號は毎号コラムが一ページ程度あるのもポイントだ。中身はだいたい騎手の勝利インタビュー的なものなのだが、確かに、こういうのがきちんと載ってる競馬新聞ってなかなかないかもね。こういうスポーツ新聞的な要素も同紙の魅力と言えよう。

　ちなみに荷桁が訪問したときはたまたま中島高級競馬號100周年のタイミングでそれに関するコラムが載っていた。もはや口伝でしか継承できないこういう話をしっかり活字で残してくれているところが素晴らしい。

　という訳で初っ端からパンチが効きまくっておりましたが、まずは中島高級競馬號をご紹介いたしました。申し上げたとおり、日本最古の競馬新聞でもありますので、とりあえず話題作りのためにもとりあえず高知競馬場に赴いたら一部買ってみてもよいのではないでしょうか・・・。

　さて。それでは次の予想紙を見ていくことにしよう。お次は「福ちゃん」である。

　福ちゃんは有限会社福ちゃん出版社が発行している予想紙で、中島高級競馬號と同じくホチキス止めの冊子タイプの体裁をとっているぞ。

　表紙はカラーだが、中島高級競馬號に比べると若干武骨な感じ。「土佐龍馬」などの文字はなく、見どころ、調教タイム、トラックマンのイチオシなどが並んでいて、まあ、ある意味まっとうな感じだ。

　裏側には、福ちゃんが購入ができるコンビニやマルチプリントでの購入方法などがみっちりと書いてある。さっきまで見ていたのが「土佐龍馬」だったからなんか変な感じに思うかもしれませんが、このご時世、こういう商売っ気はどんどん出していかないといけませんわな。

　ちなみに、福ちゃんは高知競輪の専門紙も発行しているので、競輪も興味があるぞという方は是非とも高知競輪場で購入してみてくれたまへ。

　さて。それでは福ちゃんの馬柱を見ていくことにしよう。

　福ちゃんの馬柱は一見横長に見えるが実は近走成績は縦にまとめられているという競馬新聞としてはかなり独特の形態をとっている。競輪や競艇の新聞だとこういうタイプがあったりするので、競輪とフォーマットを合わせているのかもしれないな。

　そんな独特な福ちゃんだが、凡例一番下についているので、これも基本的な用語が分かればそんなに恐れるようなものでもないので、安心して購入してくだされ。

　福ちゃんにも騎手と調教師のデータがあるが、蓄積型の中島高級競馬號に対して、福ちゃんは本日の勝負気配を読む一助になる一覧表がついている。騎手は１R～最終レースまでの騎乗予定と、所属厩舎、他厩舎の別が分かる一覧表があり、調教師の方は同じく１Rから最終レースまでの出走予定があり、二頭出し、三頭出しなども分かるようになっている。それぞれの馬の印と照らし合わせながら見ることで、今日一日、この騎手はどの馬が稼ぎどころなのかということがなんとなく見えてくるので、便利なコーナーである。

　中島高級競馬號はその確固たる世界観がありそれはそれで素晴らしいのだが、福ちゃんはどちらかというと、ギャンブラーのニーズに寄り添った紙面づくりという姿勢が出ていていい感じだ。なんとなくフィーリングが合うなと言う方は是非福ちゃんをどうぞ。

　さて。それでは最後に残る一紙の「競馬研究」を見ていくことにしよう。先ほどの二紙とは違い、通常のタブロイドサイズの新聞タイプである。

　あれ？どこかで見たことあるな・・・という方もいるかもしれないが。そう。競艇や競輪などでも「競艇研究」「競輪研究」という題字で似たようなフォーマットの予想紙が全国各地で出ているので、なんとなく見たことがあるという方もいることだろう。

　これが実際に発行されている競艇研究（尼崎で購入）と競輪研究（向日町で購入）だ。ロゴのデザインがほとんど同じということがお分かりいただけるだろう。

　この高知競馬における競馬研究は高知市内に拠点を置く井上出版印刷社競輪競馬研究という会社が発行しているようで、どうやらほかの地区の研究とはロゴを共有しているだけで、資本的なつながりはあまりなさそうな雰囲気である。

　ちなみに、福ちゃんよろしく高知競輪の専門紙も発行しているようなのだが（執筆時点の競輪.jpの公式サイト内で確認ができるが情報が古い可能性がある）、荷桁が高知競輪場に行ったときには確認できなかったので、競輪の方はもうやめてしまっているかもしれないな。

　競馬研究の馬柱はきわめてシンプルな感じで、戦績が横に連なっているタイプの馬柱だ。ただ凡例のようなものはなく、読むにはある程度数字を見てそれがなんだか分かる程度の経験が必要だ。

　先述の競艇研究、競輪研究もそうなのだが、とにかくコンパクトに柱を並べるのが研究の真骨頂。コラムや過去データなどの情報は基本的になく、必要最小限の情報しか記載されていないためほかの２紙に比べてかなり薄い内容になっているが、余計な情報はいらんからシンプルに出走情報とコメントと印だけ欲しいという方にとっては使い勝手のよい予想紙だと言える。

　中島高級競馬號や福ちゃんとはかなり毛色が違うが、生き残っているだけあって、ファンはそれなりにいる。武骨な競馬研究の印に乗っかってみたいという方は是非購入を検討してみてくだされ。

　さて、という訳で、高知競馬場の予想紙三紙を見てまいりました。それぞれ個性や方向性が違ってキャラが立っているので、是非いろいろ見くらべてみて、自分に合う競馬新聞を見つけてくだされ。

　っつーわけで、次回以降も高知競馬場の話をしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします・・・。　